企業型確定拠出年金の税制メリットを生かすにはどうすればいいの??

確定拠出年金は元本確保型と元本変動型の2種類


確定拠出年金では、運用商品を自分で選んで、長期にわたって積み立てしながら運用していきます。選んだ商品によって結果も変わってくるので、運用商品選びは重要です。

企業型確定拠出年金で選べる具体的な運用商品はお勤めの会社ごとに異なりますが、大別すると「元本確保型」と「元本変動型」の2種類に分かれます。


元本確保型商品はあらかじめ決められた金利で運用されますので、満期時に元本と利息が確保されます。金利が高い商品ほど有利で、主なものは定期預金と保険です。

元本変動型商品は運用状況に応じて元本の変動があり、主なものは投資信託で毎日値動きします。
※前回記事「運用開始後の見直し方」についてはこちら

税制面でのメリットを最大限に生かすなら元本変動型商品


確定拠出年金は60歳まで長期にわたって積み立てし、60歳から70歳までの間で引き出すという制度ですから、長期間で増やしていくことのできる運用商品を選んでいくことが大切です。

税制面のメリットのひとつである「増えたお金(利息や売却益)に課税されない」という特徴を最大限活用するためには、低金利の元本確保型ではなく、元本変動型である投資信託を活用するのがよいでしょう。


少額から分散投資できる投資信託は長期の積立投資におすすめ


投資信託は、投資家から集めたお金を運用会社がさまざまな投資対象(株式や債券、不動産や金、原油など)に投資する仕組みですので、「分散投資できる金融商品」だと言えます。

また株式投資は最低購入数が決められているので、数万円から数百万円が必要ですが、投資信託は少額から購入できるのも特徴です。

まとまったお金が必要で、自分で投資先を選ぶ株式投資と比べると、投資信託は少額から始められ、分散投資も可能なので、長期の積立投資に適した運用商品だと言えるのです。


値動きによる利益を期待するなら株式に投資する投資信託を


長期の積立投資の特徴は前回でもお伝えしましたが、「投資の成績=量×価格」で決まるということです。商品の値動きが大きなものほど、価格が下がったときにたくさん購入でき、価格が上がったときに大きな収益を得ることができます。

この特徴を最大限活用したいと考える場合は、「株式に投資する投資信託」を選びます。国内株式や外国株式に投資する投資信託商品が、それに該当します。
値動きが大きい投資信託を選びたい場合は、新興国や中小型株を入れることで値下がり局面で量を買い込み、市場が上昇すればその分大きな収益を得るチャンスを生み出すことができます。

一方で、値動きが大きい商品は運用リスクが大きいです。ただし、この場合のリスクとは「危険」という意味ではなく「値動きの大きさ(ブレ幅)」のことで、値下がりすることも値上がりすることもリスクと言います。


投資信託を選ぶ際は、この運用リスクをコントロールするのが大切になってきます。


複数の投資信託を組み合わせてリスクを分散


運用リスクをコントロールする方法として、特徴の異なる複数の投資信託を組み合わせる方法があります。組み合わせによりリスクを分散するのです。

商品の購入比率を「ポートフォリオ」と言い、投資では自分の年齢や家族構成、他の金融資産状況やその運用成績、経済環境を考慮して資産配分を決めていくことが重要となります。

特に、確定拠出年金を含めた保有資産全体の構成が重要で、特定の資産に偏っていないかどうかを考慮して運用商品を決めていきます。


「確定拠出年金」単体ではなく、資産全体の構成を考えて組み合わせる


確定拠出年金は1%単位で運用商品を選べる、と以前のコラムでお伝えしましたが、商品を選ぶときには確定拠出年金だけではく、自分の資産全体の構成を考えてみることも大切です。

分散投資のセオリーは株式と債券、国内と海外を組み合わせることと言われており、私たちの公的年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や海外の投資家もこのセオリーに沿った組み合わせで投資しています。

オーソドックスな組み合わせ方法は、それぞれの資産を均等に4分割する方法です。
企業型確定拠出年金のメリットを生かすには投資信託がおすすめな理由【漫画付き解説】


日本人に多い預金や財形、生命保険は国内債券の運用に該当


現在の資産が「財形」や「普通預金」中心の人は、国内債券で運用していることになります。また、貯蓄性の高い生命保険を使ってためているという人も、国内債券で運用していることになります。
というのも、銀行や生命保険会社は集めたお金を日本国債で運用しているので、利用者のみなさんは銀行や生命保険会社を通じて日本国債で運用していることになるからです。

そのため、多くの人は国内債券の比率が高いです。なかには100%国内債券という人もいます。
国内債券の比率が高い場合は、確定拠出年金では海外株式中心にするなど他の資産を選んで、全体の比率を目標値に向けて修正していくのが良いでしょう。


(解説:加藤博 イラスト:トレンド・プロ)
次回は企業型確定拠出年金の世代別活用事例について解説


▼解説者プロフィール
株式会社LSFP 加藤博
企業型確定拠出年金のメリットを生かすには投資信託がおすすめな理由【漫画付き解説】

保険会社、コンサルティング会社などを経て2013年にFP会社(株式会社LSFP)を設立。
金融商品の知識が深く、確定拠出年金に関しては、個人型と企業型の両方に精通。細かい制度内容や手数料などを、お客様にわかりやすく説明することで、お客様自ら判断できるようコンサルティングしている。
お金の心配をなくして、人生をもっと楽しくイキイキと送ってもらえるよう、金融面で支援することが使命。

トレンド・プロ

日本初のマンガ広告制作会社で1,500社、6,300件以上の実績を持つ。
動機付け、興味の喚起、ストーリー性、分かりやすさなど、マンガの持つ強力な訴求力を活用し、効果ある広告
を提案できるノウハウは、マンガ広告だけでなく難しい書籍をコミカライズするビジネスコミック制作にも拡がり
を見せ、10万部を超えるヒット作を続々手がけている。

▼漫画と専門家解説でわかる「企業型確定拠出年金」シリーズ
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