We♡SMAP #3|19歳の森且行がレーサーになる夢を語っていた1993年のSMAP
イラスト/おうか

ずっとSMAPが好き♡ SMAP特集

1993年のSMAP。3月3日にシングル「ずっと忘れない」を皮切りに、6月6日に「はじめての夏」、9月9日に「君は君だよ」、11月11日「$10」と、5thシングル「笑顔のゲンキ」から続くゾロ目のリリース。アルバムも1月1日に「SMAP 003」、7月7日に「SMAP 004」と発売日にこだわりがうかがえる。


【前回レビュー】We♡SMAP #2|チョコ140トン、『夢がMORI MORI』スタート!1992年のSMAP

ジャケ写に見るSMAPの変化

92年3月リリースの「心の鏡」、同年7月の「負けるなBaby! 〜Never give up」の作曲は筒美京平。負けるな~の編曲にCHOKKAKUを迎えた。CHOKKAKUはSMAPをはじめ、V6から2018年デビューのKing & Princeまで数々の編曲を手掛けている。

「SMAP 003」のジャケ写は6人がカラフルなジャンプスーツ姿。稲垣吾郎はフルフェイスのヘルメットを持ち、森且行草なぎ剛は背面の大きなパラシュートから繋がるロープを束ねて担いでいる。ピンクやブルー、イエローと眩しいくらいの鮮やかな衣装で、SMAPの名前の由来を思わせるスポーティーな雰囲気だ。

「The Theme of 003」は、靴の音から叫び声、サイレン、不気味な笑い声……ストリングスの上質な音を合わせたミュージカルのような構成。続いて、「Scarface Groove」とHIP HOPへとがらりとジャンルを変える。シンセサイザーの音が印象的な「いますぐ天気にしておくれ」。誰もがリズムをとりやすい「Happy Birthday」へと続く。ユニゾンがかわいい、そしてとにかく声が若い!

ユニット曲も豊富で、木村拓哉、稲垣吾郎、森且行「Cry」。カップルの別れをテーマにしたバラード。スローなテンポも相まってソロパートが際立つ。
森が優しい声で包むようにして歌い、木村はクリアで伸びやかなクールボイス、稲垣は声が今よりも高めで可愛らしい。

香取慎吾、草なぎ剛の「言わなきゃわからない」はユニゾンを多めに、手を引いてデートに誘い出すような明るい雰囲気の楽曲。“しんつよ”らしい元気がもらえる曲。「うまくいかない」木村と香取。香取の声が若くて瑞々しい。“お兄ちゃんと弟”感も感じられる。

中居正広はソロで、年下男性の恋心を歌った「悲しくて眠れない」。まっすぐに相手を思う誠実さが伝わる透明感のある声で聴かせる。

そして、7月7日リリースの「SMAP 004」。SMAPの明らかな変化はアルバムジャケットにも表れている。6人がアイドルスマイルで映る「SMAP 003」から大きく路線を変更。「SMAP 004」はアメコミ風にSMAPのロゴを全面に打ち出したデザイン。
CDに封入の小さな折りたたみリーフレットを開いてようやく6人の顔を見ることができる。大胆な舵切りで、随分とオシャレな雰囲気。一気にあか抜けた。

「ポケットに青春のFUN FUN FUN」。元気いっぱいファンキーなアップテンポの楽曲からスタート。本作の特徴はメンバー6人のソロ曲。森の「永遠に抱きしめたい」のバラードもあれば、草なぎはちょっとクールに「5月の風を抱きしめて」、香取の笑顔が浮かぶ「日曜日のアニキの役」、稲垣はいまに続く情景描写が美しい「September Rain」を雰囲気たっぷりに。木村は重厚なギターリフが印象的な「こんなに僕を切なくさせてるのに」を力強いボーカルで。中居は「泣きたい気持ち」。イントロからこれまた繊細なスイートボイスで惹きつける。

そして10thシングル「$10」を11月11日にリリース。このあたりからSMAPの音楽はアイドル路線から脱皮し、消費されない音楽を目指したのだろう。
SMAPを印象付ける曲の一つとしていまなお耳にする代表曲になった。

19歳の森且行インタビュー

●「JUNON」1993年5月号
1992年8月号からスタートしたSMAPのソロインタビュー。初回の木村、10月号に香取。そして93年5月に森が登場した。

タートルネックのインナーにシャツ、そして厚めのブルゾンを羽織ったスタイルに、日焼けした肌で映る森。写真集の撮影で、ロス、ラスベガス、アリゾナ、ハワイを回ってきたという。10日間で7回飛行機に乗り、10日間ずっと時差ボケ。その間考えていたのは仕事のこと。

「今まで5年仕事してきたけど、まだ僕は“自分にはこれが本当に合ってるんだ”っていうものが見つけられてないなあ、とか。歌にしろ、お芝居にしろ、やっててすごく楽しいし、好きなんだけど、でも本当に合ってるかどうかは自分でもわかんないんだ」。
だからできるだけ多くの経験を積んで、その中からコレだというものを探せたらと続ける。

「僕の中の理想のカッコイイ男っていうのはね、“いつも自分らしく生きられる男”なの。
自分の好きなことだけして、好きな仕事して、自由に生きる。人にしばられず、自分に責任持って自分で決める。妥協しないで、中途半端生きてない男」。

海が好きでサーフィンに没頭したこと、高校時代は学校にサーフボードを持って登校し、授業に3時間だけ出て抜け出し、湘南の海へ行ったとも。自分にとことん向き合っていた19歳当時の森。アイドルや俳優が多数登場する雑誌のインタビューでも、飾らず、媚びず、赤裸々に語っている。



「僕、ずっと小っちゃいころからレーサーになりたかったの」。ラジオ番組で近藤真彦少年隊植草克秀とカートのレースに挑戦し、それがおもしろかったと文面からも心躍らせた様子が伝わってきた。のちにレーサーになる夢を叶えた森。SMAP時代のインタビューからも意志の強さが感じられる。


92年4月に『夢がMORI MORI』(フジテレビ系)がスタート。SMAPがコントに挑戦したのだが、森がメンバーの中でいちばん照れがあったという。


「恥ずかしいものは恥ずかしいでしょ。でも最近だんだん抵抗がなくなってきたみたいで、慣れって怖いよね(笑)」

続けて、同年3月28日に放送のNHKドラマ『魚のように』について。「僕は、年上の女性と初体験をするっていうインパクトのある役で、ボーンと出てボーンと去ります(笑)」。

森は、中居が雑誌のインタビューで「森はぜんぜん髪型が変わんない。どうしてだろう」と発言していたのを受けて、「マジでショックだったの(笑)。あ、そうだったかなぁと思って。こうなったら絶対切ってイメージ・チェンジするしないだろう、と(笑)」。似合わなかったらどうしよう考える小心者だと自称する森。今度は本当に切ると宣言していた。
(柚月裕実)

※次回の更新は9月27日(月)21時予定! レビューを更新しましたら、エキレビ!のツイッターでお知らせします

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Writer

柚月裕実


Web編集/ライター。ジャニヲタ。アイドルがサングラスを外しただけでも泣く涙腺ゆるめな30代。主にKAT-TUNとNEWSですが、もはや事務所担。

関連サイト
@hiromin2013
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