We♡SMAP #4|つかこうへい語る「木村拓哉の俳優としての“華”の源・貪欲さの象徴は『目』」
イラスト/おうか

ずっとSMAPが好き♡ SMAP特集

1994年のSMAP。シングルリリースは4作。1月1日「君色思い」、3月12日「Hey Hey おおきに毎度あり」、6月6日「オリジナル スマイル」、9月9日「がんばりましょう」、12月21日「たぶんオーライ」
アルバムは2作。2月2日「SMAP 005」、7月7日「SMAP 006〜SEXY SIX〜」。006からサブタイトルが付いたことからも変化を感じるように、本作のレコーディングはニューヨークで行われた。

【前回レビュー】We♡SMAP #3|19歳の森且行がレーサーになる夢を語っていた1993年のSMAP

7月からはコンサートツアー「SEXY SIX SHOW」がスタート。後に映像化された作品には最終日の武道館公演が収録されている。VHSは同年11月、のちにDVD化され2003年12月24日に発売。

オープニング映像にもあるように、ニューヨークで撮影した映像からスタート。シルバーの長いマントを着た6人がステージに登場すると、メンバーと一緒にファンが大合唱。この頃の応援スタイルだったようだが、現在どのアーティストのライブも声が出せないだけに、ライブで思いっきり歌う姿を羨ましく思う。

93年のNHK紅白歌合戦は「$10」、94年は「がんばりましょう」を披露。91年から続いていた『桜っ子クラブ』(テレビ朝日)が94年8月で終了した。

木村拓哉が一躍人気俳優に。
取手治役で眼鏡をかけた理由は?

1993年10月~12月放送の月9ドラマ『あすなろ白書』(フジテレビ系)に取手治役で出演した木村拓哉JUNON独占インタビュー「青春グラフィティ/少年時代から今までのこと。」で「『あすなろ白書』との出会いが肩の力を抜いてくれた」(1994年10月号)と作品を振り返った。

超人気ドラマへの出演、それも“あすなろ抱き”など、いまで言う“胸キュン”なシチュエーション&セリフで一躍その名が知られるようになった木村。

「あれで違うことができるようになったと思う、それまでは、まわりが抱いているイメージに合わせてた面もあったから」

衣装を例に、これまで5人中3人のスタイリストが、革ジャンにダメージデニムの衣装を持ってきたとすれば、『あすなろ白書』出演以降はピンクのシャツやサラサラヘアと、イメージにも変化を感じたと語っている。デビューから7年、アイドルの枠にくくられ、時には窮屈に思うこともあったとも。衣装に代表されるように、これまでのアイドルの枠からフレームを拡大して、幅を広げた。

「俺、思ったことをズバズバいっちゃう性格だからね。年上の人たちからは『もうちょっと丸くなったほうがいいよォ』(笑)って、いわれちゃう」

記事ではこの破天荒ぶりが、周囲をハラハラさせる面もあるが、このスタンスが取手を生み出したのではないかと綴られていた。

幼少期は厳しい父親の教育を受けたこともあり、「ものすごい負けず嫌いに成長した」とある。体育会系の一面もありつつ、父の本棚にはたくさんの本が並んでいた。文武両道が木村家の家訓なのだろう。

「拓哉」という名前の由来を父にたずねたところ、「開拓精神の拓に、この志賀直哉の哉をつけたんだって、本をさして教えてくれたんだよね。
拓哉って名前、今は好きだけど、小学校時代はイヤでしたね。だって“たくあん”とかみんなにいわれちゃって(笑)」

インテリア関係の仕事に就く父の影響もあって、絵を描くのは日常だった。幼稚園入園前から絵の教室に通い、小学校1年からは剣道を習い、音楽は親が聴いていた映画音楽の影響を受けたと言う。

この仕事の魅力について「それぞれのポジションにいる人たちがひとつのものを創り上げるために戦う、その面白さです」。

当時21歳の木村。恋愛について「温かさと冷たさの、両面持ってるような人がいいな。いつでもそのまんまっていう、変化のない人ってイヤですね」。結婚について、想像がつかないと返答するも、「30歳前にはしたいと思うけど。自分がカッコいいと思えるときに、父兄参観とか行って、『あのおやじ、カッコいいなー』って、言われたいって思うから」。



JUNON1994年11月号では、つかこうへいと当時18歳の大学生・森坂あかねが前述のインタビュー記事を踏まえながら、つかこうへいが木村と初対面したときのこと、木村特有の目の輝きについて語った。

つかこうへいが木村と初対面したのは4年前とあるので90年頃のこと。長与千種主演舞台『リング・リング・リング』が上演された渋谷のパルコ劇場近くで、ジャニー喜多川氏と少年数名とで食事をしたという。
まだ頬がふっくらとした少年たちのなかで、「ひときわ美しく、野心に満ちた瞳を輝かせた少年がいました」と木村の第一印象を明かした。

そして話題はやはり『あすなろ白書』での取手役について。「本当に良かった!」と興奮気味で語る森坂。でもメガネをかけての登場について、「彼の印象を殺しちゃってる」と憤っていた。これに対して、つかこうへいは「強すぎるんだよ、木村の目が。眼鏡でもかけさせて木村の目の印象を薄めないことには、他の役者が喰われるよ。プロデューサーは、だから、わざと木村に眼鏡をかけさせたんだじゃないかな」。さらに「この目は木村くんの持ってる俳優としての“華”の源であるのと同時に、貪欲さの象徴でもあるんだ」。


2020年の木村拓哉の目力

2020年1月8日にリリースした木村のアルバム『Go with the Flow』に収録された2曲「NEW START」と「ローリングストーン」のミュージックビデオの制作を、ラジオ番組『木村拓哉 Flow supported by GYAO!』と、GYAO!の動画配信番組『木村さ~~ん!』の共同企画「木村さ~~ん! 特ば~~ん!」で募集。若手クリエイターがMVを手掛けた。

その一つ「ローリングストーン」撮影のエキストラとして筆者が参加したときのこと。木村が中央に立って歌うその前後を歩く通行人だったのだが、前述の21歳の頃の目力トークの内容そのまま、目に力が宿っていて、これはお世辞でもなく圧倒されたのを覚えている。
おまけに、良い香り……それも調香師が彼のためだけに香りをブレンドしたような、そこらで売られていないであろう上質な香りをまとっていた。

木村は若手監督の指示に耳を傾け、その言葉を受けて動き、歌っていた。同時収録の「木村さ~~ん!」のスタッフと仲良さげに談笑する姿も。続いて、椅子に座る編集者の役をもらったのだが、ストーリーの流れで、木村がすぐ近くまで歩いてきた。その姿、雰囲気、気配……『新婚さんいらっしゃい!』の桂三枝のごとく、椅子ごとひっくりかえりそうになった。

ドラマ『教場』の撮影を終えた頃というのもあるかもしれないが、引き締まった細身で、特に首の細さに驚いた。ラフな格好でありながら放つ存在感……これを“オーラ”と呼ぶのだろう、ただただ圧倒されたのを覚えている。
(柚月裕実)

※次回の更新は10月4日(月)21時予定! レビューを更新しましたら、エキレビ!のツイッターでお知らせします

Archive



2016年9月〜12月掲載レビュー


■SMAPライブDVDレビュー年末までに完走企画スタート、こころに刻みます
■SMAPのDVD年末までに全部レビューその2。キス寸前の木村と香取「愛してまーーす!」
■SMAPのDVD年末までに全部レビューその3。稲垣にとってファンは「運命を共にした共同体」
■SMAPのDVD年末までに全部レビューその4。ネコ耳女性に囲まれ色気たっぷりの稲垣
■SMAPのDVD年末までに全部レビューその5 「バカヤロー!拓哉」中居がもがいた
■SMAPのDVD年末までに全部レビューその6「チューされた!」木村くん一筋な慎吾ちゃん
■SMAPのDVD年末までに全部レビューその7。歌わせた中居が「うるせぇ」と一言
■SMAPのDVD年末までに全部レビューその8「木村が“ちょっと暗くして”って頼んで、一瞬部屋が…」
■SMAPのDVD年末までに全部レビューその9。2002年のあの事件を超えて…涙で歌えなくなった中居
■SMAPのDVD年末までに全部レビューその10。香取「60歳になってもずっとSMAPでいたい」
■SMAPのDVD年末までに全部レビューその11。中居「SMAPはここにいるよ」
■SMAPのDVD年末までに全部レビューその12。中居「激しく踊ってないと小さくみえちゃう」
■SMAPのDVD年末までに全部レビューその13。中居「なんといわれようと、つよちゃんが好きです」
■SMAPのDVD年末までに全部レビューその14。中居「高視聴率取れればいいってもんじゃない」
■SMAPのDVD年末までに全部レビューその15。中居「あんなに泣いたのは初めて」
■SMAPのDVD年末までに全部レビューその16。香取「森くんにはいつでも笑っていて欲しいなぁ」
■SMAPのDVD年末までに全部レビューその17。歌声だけだった、あのSMAPが言葉を残さなかった

■SMAPのDVD年末までに全部レビュー最終回。中居「この先ずっといつまでもSMAPを愛してください」



Writer

柚月裕実


Web編集/ライター。ジャニヲタ。アイドルがサングラスを外しただけでも泣く涙腺ゆるめな30代。主にKAT-TUNとNEWSですが、もはや事務所担。

関連サイト
@hiromin2013
編集部おすすめ