【写真】幼少期の結、ほか『おむすび』場面カット【3点】
特に視聴者の注目を集めたのは、6歳の結(磯村アメリ)と中学生の歩(高松咲希)が登場した第17回・18回だろう。1994年、神戸で暮らしていた米田一家は絵に描いたような仲良し家族。だが三週にわたってしっかり結の言動を見てきた視聴者ならば、子ども時代の結と今の結の性格が違うことに気づいたはずだ。
高校生の結はクラスメイトに誘われて書道部に入ったり、ハギャレンに声をかけられて無理やりプリクラに連行されたりと人に流されがちな性格だ。これといった夢もなく、自分で何かを決断することを躊躇しているように見える。そんな結だが、実はこれまで何度も怒りの感情をあらわにしてきた。
帰りが遅くなった結を心配した父・聖人(北村有起哉)に「そんなにうちのことが信じられんの?」「うちとお姉ちゃんは違う」と怒ったり、しつこく誘いをもちかけてきたハギャレンに「ギャルが嫌い」と言い放ったり、第17回では歩に「お姉ちゃんみたいな生き方が嫌なの!」と声を荒げた。
普段自分の感情を押し殺しているように見える結の“怒り”は一体どこから湧いてくるのか。視聴し始めたばかりの頃はおそらく“震災”や“姉”に理由が隠されているのだろうと思っていたが、第17回でそれは間違いだったことが判明する。
結の“本来の姿”が見え隠れしたのは、第17回で大人たちが商店街のアーケードを建設するかどうか揉めていたシーン。歩や真紀(大島美優)が黙って喧嘩を見守っている中、6歳の結が突然「喧嘩したらあかん!みんな仲良く!喧嘩したらあかん!」と割って入ったのだ。
なるほど、結は元々自分の気持ちをハッキリ口にできる性格だったというわけだ。
また結の性格を語る上でもう一つ外せないのが、異常なほどのお節介であることだ。第1話で少年の帽子を取るために海に飛び込んだことから始まり、風見先輩(松本怜生)とのお出かけ中にもかかわらず体調不調のスズリン(岡本夏美)を助けたり、大荷物で道に迷っていた四ツ木(佐野勇斗)の母に手を貸したりと、自分が大変な状況になろうとも人の手助けをしている姿が印象的だ。
このお節介さも、“震災”きっかけでの行動なのでは?と思わされていた視聴者が多いのではないだろうか。誰もが混乱していた震災直後、人と手を取り合い助け合った経験があったからこそ困った人を見捨てることができないのでは、という考えに行きつくのは自然な流れだろう。
もちろんそれも間違いではないはずだが、第18回で結は子どもの頃から人のために尽くせる子だったということが明らかになった。6歳の結は自分の貯金箱を持って一人で神社に行き、大人たちが喧嘩をしないようにと神様にお願いをしていたのだ。自分の全財産を失ってもいいからみんな仲良くしてほしい、と行動した当時の結を見れば、妙にお節介な高校生の結にも納得がいく。
震災によって結は色んなものを失ったかもしれないが、一番大切とも言える人に対する優しさは失われていない。「自分以外の誰かのために」と動けるこのパワーは、これからも結の大きな武器になるだろう。
さらに今回はこれまで繰り返し登場してきた、セーラームーンへの変身シーンが放送された。
現在と過去を行き来しながら、少しずつ描写の答え合わせができた第四週。まだ進化途中の結が、これからどんな姿に変身していくのか楽しみだ。
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