HKT48やIZ*ONEで活躍した矢吹奈子は、今年も俳優として好調だ。4月からは連続ドラマレギュラー役が続き、オシドラサタデー『ターミネーターと恋しちゃったら』(テレビ朝日系)ではドラマの舞台となる少女マンガ雑誌編集部のメンバー・秋本梨沙役で出演している。
作中屈指のあざとい女子だという梨沙を演じる抱負や、芸能界で過ごしてきて気づいた自身の個性を聞いた。(前後編の後編)

【写真】俳優として活躍している矢吹奈子の撮り下ろしカット【6点】

――インタビュー前編で「梨沙のような明るい役はエネルギーを使う」と話してくれました。HKT48にIZ*ONEと、アイドルやアーティスト経験も長いですが、明るさや愛嬌に自信はなかったのでしょうか?

矢吹:小学6年生でアイドルになれたとはいえ、当時は全然自信がなかったんです。最初は本当に喋ることさえできませんでしたから。声が小さすぎて、スタッフさんに「奈子はピンマイクが4本いる」って言われたこともあります(笑)。

――そこからどのように、人前に立つ自信がついていきましたか。

矢吹:やっぱり握手会ですね。まず、アイドルになるきっかけをくれたのも指原莉乃さんとの握手会でした。指原さんが「かわいいからAKB48に入れるよ」って言ってくれたからアイドルを目指せたし、今度は握手会で私がファンの皆さんから元気をもらってきました。直接かけてもらえた言葉のおかげで、自信もついていきました。

――「タミ恋」ではマンガの編集者を演じていますが、もし芸能界とは別の道を選んでいたら、どんな仕事をしていた思いますか。

矢吹:小さい頃はアイドルの他に美容師さんに興味があったので、目指していたかも。
髪を触るのが好きで、バレエに通う時も自分で髪型を作っていましたし、妹と美容師ごっこもやっていました。それもかなり本格的な。

――「本格的」というのは、どんな風に?

矢吹:妹がお客さんで、入店してくるところから始まるんです(笑)。私がお店の中から「いらっしゃいませー!」って迎えて、三つ編みにしてあげたりしました。当時から、やるならとことん細部まで、という性格だったのかも。ファッションも好きなので、今はまだお芝居に集中したいですが、小柄な女性でも自信を持って着られる服をいつか提案できたら、という夢もあります。

――最近は『ブラック・ジャック』『サムシング・ロッテン!』とミュージカルも経験されてきました。舞台を経験して成長したと思うことはありますか。

矢吹:台本の覚え方が変わってきました。以前の私はスクリーンショットを撮るように、セリフを文字で覚えていたんですね。でも最近は相手がこのセリフを言ったから、自分の感情がこう動いて、だからこの言葉が出てくるんだ、と立体的に役を捉えるようになって、以前より台本に頼らなくてもよくなりました。稽古場で演出の先生にじっくり教えてもらうと、ドラマの時よりも自分のお芝居を客観視できるなと思います。


――ミュージカルですから歌もありますし、知名度の高いピノコを演じる時にはプレッシャーもあったのでは。

矢吹:難しかったですね。普通の18歳の女の子ではなくて、お腹の中で生きてきて、言葉もあやふやだったり未完成な部分が多い子だから、演出の栗山民也さんが考えてくれたピノコ像を、稽古場で何回も教えてもらいました。そうしたら、不思議と本番で緊張しなくなったんです。アイドル時代も初日は必ず緊張していたのに。

――なぜでしょう?

矢吹:安心感があったんだと思います。稽古でピノコに向き合えたし、幕が上がる時は坂本さんが演じるブラック・ジャックと2人でベンチでスタンバイしているので、そこでちょっとお話も交わせたりして、リラックスできました。

――映像や舞台と活動の幅を広げるなかで、改めてご自身の「個性」についてはどう捉えていますか。

矢吹:私、「会ってみたら、思ったより小柄だった」ってよく言われます(笑)。だからお芝居をしている姿だと、普段の私より風格があるように見られているのかもしれないです。素の姿だとかわいくて、タレントとしてはもっと大物感があるって、最高じゃないですか」

――俳優業だけでなくラジオの『矢吹奈子のレコメン!』(文化放送)での矢吹さんも、おなじみになってきました。

矢吹:最初は一人で2時間を持たせることに精一杯でしたが、自分から気になることがどんどん出てきて、会話を楽しめるようになりました。
時間も2時間から3時間になって、もう4年目に入ります。ゲストさんとのトークで好奇心が鍛えられていて、お芝居で役の心を考える上でも力になっていますね。

――では、これからやってみたい役柄は?

矢吹:まず、いっぱい笑ってもらうお芝居の経験があまりないんです。お笑いやバラエティーも見るのは好きなんですが、いざ自分がやるとなると、なかなかいいボケが思い浮かばなくて(笑)。いつかオファーが来た時のために、笑いのスキルも磨きたいです。それにもっとミステリアスな、陰のある役にも挑戦してみたいです。

――これまでとは正反対の矢吹さんが見られそうですね。

矢吹:そうですね。感情を全部見せる素直な役ばかりやってきたので、「この子、かわいいけど何を考えてるんだろう?」って思わせるような、ギャップを見せられる表現者になっていきたいです。

□矢吹奈子(やぶき・なこ)2001年6月18日、東京都生まれ。13年8月、HKT48の第3期生オーディションに合格し、15年9月からは、AKB48のチームBとも兼任する。18年には韓国で『PRODUCE 48』に参加し、IZ*ONEとしてデビュー。
21年4月にIZ*ONEとしての活動期間を終了。HKT48に復帰後、23年4月にHKT48を卒業。同年10月期の朝日放送・テレビ朝日系『18歳、新妻、不倫します。』で連続ドラマ初ヒロイン。26年はオシドラサタデー『ターミネーターと恋しちゃったら』(テレビ朝日系)や、『サレタ側の復讐~同盟を結んだ妻たち~』(テレビ東京)などに出演している。

【前編】矢吹奈子「酸欠になるほど全力で挑んだ」“あざといけど絶対に嫌われない”役作り新境地
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