見上愛と上坂樹里がヒロインを務める、NHK連続テレビ小説『風、薫る』(総合・月曜~土曜8時ほか)。第10週の放送を終え、物語は中盤戦に差し掛かっている。


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りん(見上愛)と直美(上坂樹里)は、看護婦見習いとして病院実習の真っただ中。二人がやがて看護婦として成長し、日本の医療を支える存在になっていくことは、おそらく既定路線だろう。だからこそ、本作の面白さをさらに加速させる鍵は、“サブストーリー”にあるのではないだろうか。

今後、どんな人物たちの人生が動き出すのか。どんな関係性が変化していくのか。ここから特に期待したい3つのポイントを挙げたい。

まず気になるのは、実習生たちの描かれ方だ。現時点では、実習シーンはりんと直美が中心。第10週でようやく他の実習生たちの姿も描かれつつあるが、看護という仕事に何を感じ、どんな壁にぶつかっているのかは、まだあまり見えてきていない。

もちろん「ナイチンゲールに憧れている」「津軽弁で話す」などそれぞれ個性はあるが、その個性が物語に活かされるエピソードはまだ少ない印象だ。そのため、視聴者としても「このキャラクターをもっと見たい」と思える“推し”を見つけ切れていない部分があるかもしれない。

看護という仕事は、一人の活躍だけで成立するものではない。
今はまだ個人プレーが目立つ実習生たちだが、切磋琢磨しながら現場に立つ姿や、一人一人の葛藤や挫折が描かれれば、作品全体にもっと厚みが出てくるだろう。

そして今後、大きな軸になっていきそうなのが、直美の“母親探し”である。生まれてすぐ母親に捨てられ、教会で育った直美。唯一分かっているのは、母親が女郎だったらしいということだけだ。

そんな中、ある男性から「お前は夕凪か?」と声をかけられたことで、直美は自らのルーツを探り始める。もし今後、直美が母親と再会することになれば、物語の大きな山場になるに違いない。SNSでもすでに「ラストに母親の看病をすることになるのでは」と考察が飛び交っている。

直美はこれまで、孤独を抱えながら生きてきた人物だ。人を信用し切れず、生き延びるためならウソもつく彼女が、母親の前でなら弱さを見せられるのだとしたら、その再会は大きな救いになるに違いない。

もちろん、母に再会することが直美のゴールではない。むしろ、母との再会は、直美がこれからどう生きていくかを考えるための“通過点”として描かれるべきなのかもしれない。

個人的に最も気になっているのが、りんの“母親”としての描かれ方だ。
りんは18歳で結婚・出産を経験したものの、その後離縁。現在は母・美津(水野美紀)と妹の安(早坂美海)、そして娘の環(英茉)と暮らしている。しかし、りん自身は看護学校の寮で共同生活を送っており、環と過ごせる時間は決して多くない。

美津は瑞穂屋で働いているため、環の子守りは安が担当していると思われるが、3歳前後の環はあまりにも聞き分けがいい。「お母さんに会いたい」と駄々をこねたり、久々に帰宅したりんに甘えたりすることがなく、幼い子どもらしいわがままがほとんど見えないのである。

近年の朝ドラでも、“仕事と母親”の問題はたびたび描かれてきた。伊藤沙莉主演の『虎に翼』では、寅子(伊藤沙莉)が仕事を優先したことで、娘との距離感に悩む姿が描かれた。娘との二人暮らしが始まり、寅子は初めて「自分は娘のことを何も知らなかった」と痛感することになる。

橋本環奈主演の『おむすび』では、結(橋本環奈)が一家の大黒柱として働き、家事や育児を夫が担うという、朝ドラでは比較的新しい家族像が描かれていた。子どもとのすれ違いや育児への葛藤も丁寧に描かれていた印象だ。

『風、薫る』もまた、単なる“看護婦になるまでの物語”では終わらないだろう。看護婦として誰かを支える一方で、自分を支えてくれる家族とはどう向き合うのか。
りんと環の親子関係が、今後どう変化していくのかにも注目したい。

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