【芸能界クロスロード】
ドラマと並んで番組の柱であるバラエティー。民放各局、時代に合わせ趣向を凝らしているが、近年は似たり寄ったりの内容だ。
先日亡くなったセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文氏の名言「二匹目のドジョウ狙いの発想から抜け出し、予定調和を崩し、新しい価値を提供することです」をいち早く実践したバラエティーがテレビ朝日系の「ザワつく!金曜日」だ。明石家さんまら人気司会者と芸人らのトーク番組の発想から抜け出し、芸人は“サバンナ”の高橋茂雄ひとりで脇役的な司会者。
メインは長嶋一茂(60)、石原良純(64)、高嶋ちさ子(57)の3人が務める。
2018年に深夜枠でスタート。1年で金曜ゴールデンに昇格するとお茶の間に定着。週間視聴率で朝ドラ、大河と並ぶ2桁視聴率をとり、19年からは大みそかの特番で民放トップを獲得するなどテレ朝の看板番組になった。
ちまたで話題の食や流行を3人が好き勝手にトークする構成だが、ベスト10コーナーも「1位を当てちゃダメ」と新たな発想で工夫するなど、従来のバラエティーとはひと味違う。1980年代のフジテレビのキャッチ「楽しくなければテレビじゃない」のお株を奪う企画と、個性豊かな3人のトークが面白さの秘訣。
一茂は長嶋茂雄、良純は石原慎太郎と国民的なスターだった父を持つ。高嶋の父は元レコード会社のディレクターで伯父は俳優の高島忠夫。
なかでも一茂の迷言が番組のキモになっている。
「一茂は芸人のように計算されたネタの面白さではなく、幼い頃から体験したことのあけっぴろげなトークが“面白い”と評判になった」(テレビ関係者)
一茂は父の影響でプロ野球選手になったが、父のような活躍はできず9年で引退。その後、タレントに転身。バラエティーのひな壇で経験を積み現在、冠番組は「ザワつく──」を含め4本の人気者になった。
人も羨むお坊ちゃま育ちの一茂。出始めた頃は「鼻につく」一面もあった。
長嶋邸の壁に「バカ息子」と落書きされて話題を集めたが、世間の声など気にする様子もない。
「出る杭は打たれる」芸能界も、出過ぎてしまえば、打ちようがなくなるもの。
ハワイに行くため生の情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」を度々休むのも恒例だが、「一茂らしい」と笑うしかない。先日、ゲスト出演した出川哲朗が「普通、番組クビでしょう」と言っても、「休んでも席があるから」と意に介せず。金曜のパネリスト席は一茂の帰りを待っている。
こんな自由奔放なライフスタイルも今や一茂の魅力。枠にはまらない新しい形のタレント像をつくり上げた。タモリが素人芸から現在の地位を確立したように、一茂も自分のカラーを貫き成功した唯一無二のタレントかもしれない。
(二田一比古/ジャーナリスト)

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