北関東の山間部で半自給自足生活を送る、俳優の東出昌大。彼はこの中東情勢、石油危機を見るにつけ、「思うところがある」という。

前回は、東出が実践する石油に依存しすぎない生活を見せてもらった。後半では、彼が昨今の混乱をどう見ているのか、直撃した。


■トランプ大統領は人として到底尊敬はできない


 記者は先月中旬、東出の生活拠点を訪ねた。山間部にある、15軒ほどの小さな集落だ。正午過ぎに降り出した雨の音だけが響く中、彼が住む古民家の居間で、混迷を深める中東情勢に何を考えるのか、聞いた。


 真っ先に東出が口にしたのは、2月に起きた米軍とイスラエル軍によるイラン女子学校への爆撃事件だった。児童を含む約170人が死亡し、米軍が誤爆した可能性が指摘されている。一方、トランプ米大統領は当初、「イランの仕業だ」と関与を否定していた。


「実は私、こんな田舎に住みながら、ニュースサイトなどをずっと見て国際情勢ばっかり調べてるんですよ。私は戦争自体が嫌いですし、無辜の子供が死んでしまう理由はどこにもない。誤爆とはいえ、そのあとのトランプ大統領の言動を見ても、私は人として到底尊敬はできません」



「あまりお金を使わないってことですかね」

 ホルムズ海峡が封鎖され石油の供給が滞り、各国で「節約」の呼びかけが広がっている。一方、日本政府は「石油は足りている」と発信し続け、需要抑制を働きかける動きはない。


「足りているって言わないと経済的に混迷を極めるので、そういう発信をするんだと思います。政治家の方々は発展を望むけれども、減退は望まない。やっぱり経済成長を目指さないといけない立場ですからね。ただ一方で、ここまで肥大化した資本主義社会と大量消費社会が続く限り、やはり資源は枯渇するし、環境も汚染される。私はもう、人類が増えすぎたと思っているんです。せめて後世に資源を残したり、次々とタワマンをつくらない、とかやっていかないと立ち行かなくなるだろうけど、もう手遅れかもしれないですね」


 とはいえ、指をくわえて見ているわけにもいかない。我々が東出のような石油依存から脱却する生活を望む場合、何から始めればいいのか。


「あまりお金を使わないってことですかね。自分がお金を使えば誰かが利益を得て、誰かがそのお金で経済を回す。経済活動がある限りは、石油を使い続けることになる。そういう意味では、お金を使いすぎないこと自体、環境負荷をかけないことにつながると思います。例えば、あまり家電を買わないのも一つの手です。

買ってしまえば、そのあともずっと電気代がかかるので。掃除機とかを買う代わりに、ホウキとちり取りを使ってみるのもいいんじゃないかな」



目指すのは、自然の「循環」に根差した生活

 東出が目指すのは、あくまで自然の「循環」に根差した生活。記者もその一部を体験させてもらった。彼が耕している畑のまわりには、ワラビが自生している。「これを採って、アク抜きして食べて、その体験をぜひルポに書いてください」と気を使ってもらった。


 よく見ればワラビはそこら中に生えており、根元でポキッと折れるので簡単に採れる。穂先が開いたものはアクが強く食感も硬くなるので、育ちすぎていない頃合いのものを選ぶ。


 あまり採りすぎてもよくないかと思いちゅうちょしていると、「ドンドン生えてくるんで大丈夫ですよ」と東出に声をかけてもらった。


 15分ほど一緒に山菜採りにいそしむと、すでに東出の手には記者の数倍の量のワラビがドッサリ。やはり、慣れが違うということか……。


 この日採ったワラビと、アク抜き用の灰を入れたビニール袋を渡してもらい、記者は東京への帰路についた。後日、灰を溶かしたお湯でワラビをアク抜きし、山菜そばにしていただいた。

ほろ苦い春の味覚を味わい自然の「循環」を実感した記者は、せめていらぬ浪費をせぬようにと心に誓った。


(取材・文=橋本悠太/日刊ゲンダイ)


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