インサイドではオープンに先駆けて実施された内覧会での鑑賞レポートをお届けします。
◆「AartS by applibot」初の企画展「AartS展」が開催
AartS by applibotは、アプリボットのクリエイターで構成されるアートスタジオです。ゲーム開発におけるオフィシャルワークで培った技術力を基盤にしつつ、各メンバーが持つ独自の作家性を育てることを目指しています。
本展は「Artists Unite」をコンセプトとしたスタジオ初の企画展として、所属メンバー11名による作品を中心に、ゲームの公式イラストやコンセプトアートだけでなく、個人制作のオリジナル作品も多数展示されています。
さらに同会場では、「SSS by applibot(トリプルエス バイ アプリボット)」の過去作品も同時展示。米山舞氏、PALOW.氏、BUNBUN氏、セブンゼル氏などクリエイター7名の作品が加わり、総勢18名のアーティストによる作品が一堂に会する内容です。
◆アプリボット所属クリエイターによるオリジナルアート
会場に入って圧倒されるのが、AartSメンバーの個人制作アートが並ぶエリアです。普段、我々がゲームを通じて彼らの描いたキャラクターや背景、世界観を目にしているだけに、本展ではある種「制約」が取り払われた自由な表現が広がっています。
1階で特に視線を奪われたのが、百々田氏による「Veil: Pale Grace」「Veil: Obsidian Grace」です。巨大なキャンバスに描かれたヴェールを被った女性の「白」と「黒」の対比が美しく、祈りと呪いの境界をテーマにしたダークで退廃的な魅力が印象的でした。
つまみ氏が発表した「I. THE UNSEEN」をはじめとする三部作も見ごたえがあり、YUU IWASA氏「Cherry Blossom Girl」は、桜をモチーフに「死と再生」を描いたエモーショナルな一作。羽山晃平氏「邂逅・惑星の膿・終焉の蝶」は“地底に広がる粘菌のような存在と世界を滅ぼす人の願い”をテーマにした連作で細かいディテールに引き込まれます。
またトキキ氏「惺譜(ルミナ)集め」、Yu ohashi氏「白の憧憬」、だーくろ氏「BLUE SCRAPS」、momoharu.氏「花骨息」などが堂々展示され、来場者の視線を奪っていました。
階段を上った2階にも所属クリエイターの展示は続き、香川太郎氏「組成の森」、鴨NEGI氏「SUPERNOVA」、マキトシ氏「開闢」など、どの作品も展示会の目玉と言えるほど個性が尖ったアートになっていました。
また注目点はAartSメンバーの展示キャプションには、テーマやこだわりが本人の筆で記されており、「こういった背景があるんだ」と鑑賞の楽しみを引き立てています。そして脇にはファイル綴じられた過去作のポートフォリオや名刺が置いてあり、画風の変遷を知れたりクリエイターにとって新たな出会いの場になったりする場という印象を受けました。
なお『SEVEN's CODE―セブンスコード』をはじめとした、一部アプリボット開発ゲームに関する展示もあったため現地で確かめてみてください。
「SSS by applibot」による研ぎ澄まされたクリエイティブ作品
展示の後半に進むと、同社のクリエイティブスタジオ「SSS by applibot」の特別展示セクションも存在。国内外で絶大な支持を集める米山舞氏「00:00:00:00 white ver.」は、アニメーター出身でかつイラストレーターとしても活躍する来歴を象徴するようなシーンの移り変わりを16枚のイラストで表現。
タイキ氏「casket01」、一才氏「Can Me Yippee !!! / Rebel Glitch or Bug ?」、NAJI柳田氏「Elevation_Train」など、代表的な作品がリアルに実在する形で展示されるのは貴重。
筆者は特に版画で描かれたBUNBUN氏と京都の伝統工芸士・芸艸堂との共作「Kawazugal」、PALOW.氏によるファインペーパーにレーザーカットを施して重ね、アクリルにUV印刷をしたイラストレーションと組み合わせた作品群、セブンゼル氏のストリート感あふれるアクリルキーホルダーが印象深く、アートに対する引き出しの多さに感嘆させられました。
◆「AartS展」を鑑賞して感じたこと
「AartS展」は、ゲーム業界の最前線で活躍するクリエイターたちの個性が鮮やかに表現された企画展でした。アプリボットのアートスタジオ「AartS by applibot」による初の企画展として、ゲーム制作で培われた技術力と、各クリエイターが持つ独自の作家性が一つの空間に集約されています。
開発の現場では世界観や企画意図、ユーザー体験などの要因の中で表現が形作られていきますが、本展ではそうした役割から少し距離を置き、クリエイター自身の感性や興味、表現へのこだわりがよりダイレクトに伝わってくるようでした。
また原宿というカルチャーの発信地で開催されている点にも個人的には意味を感じました。
さらに「SSS by applibot」のクリエイターによる作品も加わることで、展示全体に厚みが生まれています。商業と個人、技術と芸術性が交差する空間は、ゲームアートの現在地と可能性を体感できる場でした。ゲームファンはもちろん、アートやカルチャーに関心のある人にとっても、新たな刺激と出会える展示だと思います。
「AartS展」は2026年6月7日までの期間、Creative Space Akademeia 21 Harajukuにて、11時~19時に開催中。
詳細は公式サイトをご確認ください。


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