暗いことが続いている地球上だが、地球全体を明るく照らす天体ニュースがある。昨年末に発見された彗星「ATLAS彗星(C/2019 Y4)」が、地球近くを通過するという。
2020年5月末頃、最大光度に達する彗星は月よりも明るく輝くかもしれないという。条件がそろえば、春の夜空を月と彗星の2つが地球を照らしている姿を肉眼で観察することができる。
【はるか遠方からの来訪者、新たに発見された長周期彗星】
おおぐま座の方角でATLAS彗星(C/2019 Y4)が発見されたのは昨年12月28日のこと。そのときは微かな輝きだったが、たった数ヶ月で劇的に明るくなった。
ATLAS彗星は1844年の大彗星と同じ軌道を持つことから、これとの関係性が推測されている。その公転周期は6124年であり、太陽系外縁の彼方よりやってくる長周期彗星だ。
なおATLASという名称は、これを発見したハワイの観測システム「Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System(小惑星地球衝突最終警報システム)」に因んだものだ。
12月の段階では太陽から4億3900万キロも離れていた。だから明るさも20等と、裸眼で見える星々の39万8000分の1しかなかったのは仕方がない。
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Comete Atlas C/2019 Y4 / NASA
【5月31日に近日点に到達。満月に匹敵する明るさに】
だが、近日点(軌道上で太陽に最も近くなる点)に到達する5月31日になれば、彗星と太陽との距離はわずか3780万キロだ。そのときのコマは木星の直径の2倍以上にも広がり、もちろん輝きだって-10.7等(数値が小さいほど明るい)にまで増すと予測される。
-12.7等の満月に匹敵する明るさで、小さな望遠鏡や高性能な双眼鏡でも観察できる。4月に入った時点で、肉眼でも楽しめるだろうとのことだ。
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Comet 2019 Y4 (ATLAS) may become very bright - See its orbit
【5月末はペルセウス座の方向に注目して、旅の無事を祈ろう】
最初はおおぐま座に出現したATLAS彗星だが、3月29日にはキリン座にまで移動し、4月中はそこに留まる。
そして5月23日までにはペルセウス座へと移動し、ここで地球に最接近するだろうとのこと。5月31日の近日点通過時には、日の出の1時間ほど前に昇り、日没の1時間ほど前に沈むそうだ。
ただし、予測と観測される明るさには、大きなズレが生じる場合もあるとのこと。たとえば2013年には、史上最大級に明るいだろうと大いに話題になった「アイソン彗星」が、太陽に接近しすぎて蒸発してしまったという残念な例もある。
ATLAS彗星もそうなる可能性がないわけではない。せめて宇宙の旅の無事を祈り、美しいショーで魅せてくれることを期待しよう。
References:space / earthsky/ written by hiroching / edited by parumo
記事全文はこちら:2020年最大級の天体ショーが始まる。5月末、ATLAS彗星が最大光度に達し、月よりも光り輝いて見える可能性 http://karapaia.com/archives/52289184.html
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