ヘビ型ロボットは、人間が入り込めない狭い隙間や瓦礫の上を進むことができるが、常に全身をくねらせて動くため、移動速度が遅くバッテリーの消耗が激しいという問題点を抱えていた。
今回、大阪公立大学の研究チームは、AIを使い、地形に合わせて体を丸めて転がるという技をロボットに習得させた。
でこぼこ道では体をうねらせ、平地ではタイヤのように回転して進むことで、移動効率は従来の2倍に向上した。さらにバッテリーの消耗を抑えることができた。
進化したヘビ型ロボットは、災害現場や宇宙探査での利用が期待されている。
この研究成果は『Robotics and Autonomous Systems[https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0921889026000436]』誌(2026年)に掲載された。
全身を動かすヘビ特有の動きが速度と電池寿命を制限
ヘビ型ロボットは、その細長い体格を活かして、がれきが積み重なる複雑な地形を通り抜けるのが得意だ。
しかし、これまではどんな場所でも体を左右にくねらせて進む「うねり運動」に頼っていたため、二つの大きな壁にぶつかっていた。
一つは、平らな場所でもスピードが上がらず移動が遅いこと。もう一つは、全身のモーターを常に動かし続けるため、すぐにバッテリーを消耗してしまうことだ。
地形に関わらず同じ動きを続ける非効率さが、一刻を争う救助活動や広大な範囲の調査において致命的な弱点となっていた。
AIが導き出した「丸まって転がる」という移動方法
大阪公立大学の山野彰夫講師をはじめとする研究チームは、この限界を打ち破るために、地形に合わせて移動方法を変える手法を取り入れた。
平坦な路面では、自分の頭と尾をつなげて「輪」の形になり、タイヤのように回転して突き進む「転がり移動」だ。
この複雑な制御を可能にしたのが、試行錯誤しながら自分で学習する「深層強化学習」タイプのAIである。
コンピューター上の仮想空間で、ロボットはどうすれば最も効率よく転がれるかを何度も練習し、地形に適応するための最適なスタイルを自ら学び取った。
路面に合わせた切り替えで移動効率が2倍に向上
「転がる」の術を覚えたヘビロボットは、路面の状況に応じて「うねり」と「転がり」を使い分け、地形への適応性を高めた。
ロボットに搭載されたセンサーが路面の変化を捉え、走行を安定させる仕組みを導入したことで、平地ではエネルギー消費の少ない転がり移動を正確に行えるようになった。
実験では、平らな地面において、従来のうねって進む方法よりも消費電力あたりの移動速度が約2倍に向上することが証明された。
地形に合わせた動きの選択が、スピードアップと省エネを同時に実現したのだ。
現場の状況を自律的に判断して突き進む未来へ
地形適応性が向上したことで、ヘビ型ロボットの活動範囲は飛躍的に広がる。
でこぼこ道では確実にはい進み、平らな道では高速かつ省エネで距離を稼ぐ。
今後は、ロボットが周囲の環境をカメラやセンサーで自ら判断し、人間に頼らず瞬時に最適な動きへ切り替える「完全な自律化」を目指す予定だ。
この技術が確立されれば、災害現場での迅速な生存者捜索や、はるか遠い火星のような未知の惑星探査において、限られたバッテリーを最大限に活かして活動できる頼もしい存在となるだろう。
References: Smarter than slithering only: AI boosts snakebot movement efficiency[https://www.eurekalert.org/news-releases/1124032] / ヘビ型ロボットの地形適応性を向上 ~最適な動きを学習させ省エネを実現~[https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-22856.html] / Deep reinforcement learning-based design with observation buffer of rolling motion for snake-like robots[https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0921889026000436]











