2026年5月、韓国にオープンした「ロボットテーマパーク」で、ヒューマノイドロボットたちのファッションショーが開催された。
主催したのは韓国のグローバル・エンターテック企業、「ギャラクシーコーポレーション[https://galaxyuniverse-jp.imweb.me/](Galaxy Corporation)」社。
そしてこの日お披露目されたのが、同社が立ち上げたロボット向けファッションブランド「MACH33(マッハ33)」である。
地球の重力圏を脱出する際の音速にちなんで名付けられたブランドで、人とロボットが共に暮らす未来を見据えたプロジェクトなんだそうだ。
主催者は「人がスマホを持つように、誰もがロボットと暮らす時代が来る」と語る。ではそんな未来のファッションショーは、いったいどんなものなんだろう。
ロボットと人間モデルが一緒にランウェイを歩くファッションショー
「マッハ33:フィジカルAIファッションショー(Mach33: Physical AI Fashion Show)」と銘打たれたこのファッションショーは、ソウル市江東区の「ギャラクシー・ロボットパーク」で、5月28日に開催された。
ランウェイを歩くのは、ヒューマノイドロボットと人間のふたり一組のモデルたちだ。コンセプトは「ロボットが人間の哲学をどのように体現しているか」を示すもの。
ショーには主催者のギャラクシーコーポレーション社が掲げている、以下の「10のコアバリュー」をテーマにした10種類のコンセプト衣装が登場した。
愛・幸福・夢・思想・家族・無限・超人類・マッハ・人間・宇宙
それぞれが人間の根源的な価値をイメージしたデザインなんだとか。ロボットモデルたちはステージの上でダンスも披露。
同社によると、こういったパフォーマンスは金属製のロボットが、血の通った人間固有の価値である「愛」や「幸福」を体現する姿を視覚化したものなんだそうだ。
新たなフィジカルAI時代の幕開けを告げるコンセプト
このショーは単なる技術デモを超え、「人間の感性とロボット技術の融合」を実現させた、新しい形のパフォーマンスとして注目を集めるものとなった。
当社は単にテクノロジーを開発する企業ではなく、人間とテクノロジーが美しく共存する未来をデザインしています。
「マッハ33」は単なるファッションショーではありません。新たにグローバルなフィジカルAI時代の幕開けを告げる式典なのです
同社の創業者兼CEOチェ・ヨンホ氏は、このファッションショーについてこのように語っている。
私たちはロボットに人間の哲学や感性を込めようとしました。今後ロボットは、人間の代わりを務める存在ではなく、日常を共にするパートナーとして定着していくでしょう。
ロボットは人間の代わりとなる存在ではなく、共に生きる仲間になり得ます。技術と人間の感性が調和する方向で、新たなエンターテックプロジェクトを披露していきます
目指すは地球脱出?ロボット向けブランドならではの苦労も
チェ代表によると、ロボットの衣装の制作には、人間のものとはまた違った苦労もあったようだ。
ロボットは人間とは体形が異なり、内部にバッテリーも搭載されています。衣装がバッテリー部分を覆ってしまうと発熱速度が上がり、80度を超えてしまいます。そうなると最終的にはロボットが停止してしまうのです
身体の構造やバッテリーの発熱問題を解決するために、工学的な安全設計を採用。何十回ものテストを繰り返した末、ロボットが過熱によって停止する現象を防ぐ衣装の開発に成功したという。
ショーのタイトルにある「MACH33」とは、ギャラクシーコーポレーション社が発表した、フィジカルAIロボット向けのファッションブランドである。
ブランド名にある「マッハ33」とは、地球の重力圏を脱出する際に必要な第2宇宙速度に由来する。
マッハとはすなわち音速のことで、地球の重力圏を脱出するために必要な早さが、音速の約33倍、つまり「マッハ33」に相当するのだ。
このブランド名には、「人間とロボットが共に既存の限界を超え、新たな未来文明を築いていく」という願いが込められているんだとか。
蛇足だが、地球の周回軌道に乗るために必要な第1宇宙速度が約マッハ23、太陽系脱出に必要な第3宇宙速度が約マッハ49、ウルトラマンが飛ぶ速さはマッハ5だそうである。
いつかロボットとファッションを共有する未来が来る
ショーの中では「ロボットの心臓」をテーマにしたパフォーマンスも公開された。ロボットを単なる技術的な存在ではなく、感情的な交流の対象へと拡張して表現した演出だという。
ギャラクシーコーポレーション社は、この「MACH33」を通じてロボットを単なる技術機器ではなく、ファッションやコンテンツ、感情的なストーリーテリングを備えた存在として表現していく方針とのこと。
誰もが携帯電話を1台ずつ持っているように、いつかはロボットと共に暮らす世界が来るでしょう。
人がロボットのファッションを真似して着たり、ロボットが人間の服を着たりしながら、自分だけのファッションを共有する未来がすぐそこまで来ていると、私は信じているのです
また今回のイベントでは、ファッションショーだけではなく、ロボット同士のキックボクシング大会も開かれたそうだ。
ロボットのファッションショーという企画に、ネット上ではさまざまな感想が寄せられていた。
- 素晴らしい。今度はファッション業界が、さらに非現実的な体型の基準を押し付けてくるのか
- 人類は自分たちを救えない。人間らしさを失うことを大流行させるのに忙しいからね
- 待って、本当にロボットをランウェーに立たせる時代になったの? 次はAIのファッションウィークか。正直、どう受け止めていいのかわからないよ
- ファッション評論家たちは、ついに本当の意味で「あり得ない美の基準」を持つモデルを見つけたんだな
- でもロボット用のダウンベストは理にかなってない? 寒さからバッテリーを守るためならさ
- ってことは、これからはロボットの服まで買わなきゃいけないの?
- そのうちモデルは失業するのかな
- 将来的には、デザイナーたちは人間よりロボットを好むようになるかもしれないね
- ロボット向けファッションなんて市場はごく小さいだろうし、ただただ不気味なだけだと思う
- 今若い女の子たちは、今度は細身のロボットとまで容姿を比べられなきゃならないのか
- いやマジで、ロボットのウエスト回りうらやましい(笑)
正式オープンは8月。ソウルの新たな観光スポットに
今夏のファッションショーの会場となったギャラクシー・ロボットパークは、2026年5月5日、子供の日に合わせてプレオープンしたロボット体験型施設である。
場所はソウル市江東区高徳洞。
ロボットK-POPコンサートやロボットによる似顔絵制作、子供向けのインタラクティブ体験のほか、ロボット犬とのふれあいなどが予定されているようだ。
グランドオープンは2026年8月を予定しているとのこと。以降は毎年1,000回以上のロボット公演が実施される計画だそうだ。
私たちは1日に3~6回のK-POPコンサート、年間で1000回以上の公演を計画しています
チェ代表は、今後の計画についてこのように話している。また音楽評論家のチャ・ウジン氏は、K-POPとロボットとのケミストリーは、文化的かつ経済的な実験になるだろうと語る。
エルビス・プレスリーの博物館にロボットを置いたら、ファンは嫌悪感を抱くでしょう。ですがK-POPはビジュアル重視のパッケージングモデルなので、ロボットはそれほど異質な存在だと感じられないのです
マッハ33の最初のターゲットは、子供に設定されているそうだ。早ければ2026年末にも、実際の販売とブランド立ち上げを予定しているという。
子供たちが自分のロボットと一緒に歩いたり踊ったりしながらファッションを共有する時、間違いなく感性も共有されるでしょう。ロボットが持つ温かさを、子供たちはきっと感じ取れるはずです
チェ代表は、このプロジェクトへの意気込みをこう語っている。このロボットパークが、韓国の新たな観光名所となる日も近い。
数年後には、ロボット用の服を選ぶのが当たり前の時代がやって来るのだろうか。答えはまだ誰にもわからないが、少なくともソウルでは、そんな未来をひと足先に覗ける場所が誕生したようだ。
References: Galaxy Corporation to host 'Mach33: Physical AI Fashion Show'[https://koreajoongangdaily.joins.com/news/2026-05-27/business/tech/Galaxy-Corporation-to-host-Mach33-Physical-AI-Fashion-Show/2602094]











