東京六大学野球春季リーグ戦最終週最終日▽慶大3―0早大(1日・神宮)

 1勝1敗のタイで迎えた早慶3回戦は、慶大が早大を下し、5季ぶり41度目の優勝を決めた。全5校から勝ち点を奪う「完全優勝」で、24年秋から3季連続5位に沈んだ屈辱から、見事にV字回復を遂げた。

今秋ドラフト候補のエース左腕・渡辺和大投手(4年=高松商)が先発、救援、先発と早慶戦3連投。8回を5安打無失点、11三振を奪う快投で早大打線を封じ、7勝目。1・28で最優秀防御率とベストナインの2冠に輝いた。

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 愛する仲間に押し上げられ、神宮の夏空に7度、舞った。ゲームセットの瞬間、こみ上げる感情を制御できず、泣き続けた左腕が、ようやく心から笑顔になった。

 「昨日、打たれた後でも、次もあるのでみんなの前でも感情を出せず…。『次、切り替えて』みたいな感じで頑張っていたんで。絶対に勝たないと、という重圧は今季一番すごかった。自分の仕事が、なんとかできたと。体力の限界と、本当に優勝できてよかったっていう気持ちで…もう涙が止まらなかったです」

 30日の早慶1回戦は7回1失点で6勝目。令和初の天覧試合となった31日の同2回戦では1点リードの9回、救援した。だが早大打線が意地の攻撃を見せ、逆転サヨナラ負けを喫した。

 「チームに心配はかけられない。マックさん(上田誠コーチ)から『明日どうする?』と言われ、『ワンアウトでも取るんで、行かせてください』と。1回で降りてもいいから、ワンアウトでも多く取って、次に回すっていう気持ちで投げました」

 天覧試合の夜。たいていのことは寝れば治る性分だが、布団に入っても悔しい思いは消えなかった。

 「涙が出てきそうになって。このまま試合入っても、やっぱ良くないなと。1回、感情出そうと思って」

 この日の朝7時。合宿上のトイレに駆け込んだ。

 一人で泣いた。

 「一旦もうリセットのつもりで泣いちゃおうと。それが逆に良かったですね。もう意外とそこでスッキリして」

 心を整え、再び神宮のマウンドに立ち、強い気持ちで好敵手を封じた。

 尊敬する人には高松商(香川)時代のチームメート、巨人の浅野翔吾を挙げる。夢は「浅野翔吾とプロ野球の舞台で対戦すること」。前夜も連絡があった。さりげない気遣いがうれしかった。

 浅野選手には、どんな報告をしたいですか。そんな問いに、笑顔でこう答えた。

 「巨人に、いい報告してくれと言いたいです」

 涙の数だけ、若者は強くなる。この春、投げた球数は886球。陸の王者のエースにふさわしい、熱投だった。(加藤 弘士)

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