東京六大学野球春季リーグ戦最終週最終日▽慶大3―0早大(1日・神宮)

 1勝1敗のタイで迎えた早慶3回戦は、慶大が早大を下し、5季ぶり41度目の優勝を決めた。全5校から勝ち点を奪う「完全優勝」で、24年秋から3季連続5位に沈んだ屈辱から、見事にV字回復を遂げた。

慶大は8日開幕の全日本大学野球選手権(神宮、東京ドーム=報知新聞社後援)に5年ぶり13度目の出場が決定。5年ぶり5度目の大学日本一を目指す。

 * * *

 ナインからの予期せぬ「カズアキコール」に、慶大の上田和明コーチ(63)はいい表情を浮かべた。

 「落とすなよ、絶対に落とすなよ!」

 ダチョウ倶楽部のネタをもじった言葉を叫びながら、若者が作った輪の中に飛び込んだ。3度、宙に舞った。その感想は?

 「プロで初本塁打を打った時(1989年6月8日・大洋戦=横浜スタジアム)に、『雲の上にいるみたいだ』と言ったんだけど、今、雲の上でした。本当に、雲の上にいましたね!」

 上田コーチは慶大4年だった84年春の早慶戦で3戦連発の離れ業を演じ、同年夏のロス五輪では日本代表として金メダル獲得。その秋のドラフト1位で巨人に入団し、堅守の内野手、ムードメーカーとしても存在感を示した。

 93年に引退後はコーチ、球団職員として巨人を支えた。昨年まではジャイアンツアカデミーの副校長を務めていたが、12月31日付で退団。慶大の堀井哲也監督(63)は1学年上の先輩で、3年前から母校コーチ就任のラブコールを送られていたからだ。

 今年1月から指導開始。

「最初は、よそもんみたいな感じ」と振り返るが、2月のキャンプから寝食をともにし、対話を重ねることで、信頼関係は育まれていった。「コーチ陣の仲がいい。それを選手全員が見ている。ベンチの控えも大村昊澄(そらと、3年=慶応)とか、いい声が出ていた。ベンチ入りメンバーもスタンドの控え部員も、とにかくみんな一つになって頑張ってくれた」。チーム一丸が強さの秘訣と明かした。

 練習は毎朝7時半から。「今はもう朝4時半起きで、5時半に家を出ているんですよ」。でも楽しい。王貞治さんや藤田元司さん、長嶋茂雄さんらに学んだ野球の知見を後輩たちに求められ、伝えられるからだ。

 「きれいなチームじゃない。泥臭いです。

ここ、強調してください。泥臭いチームね。優勝の瞬間、疲れなんて吹っ飛んじゃったよ」

 いざ大学選手権での日本一へ。4時半起床の日々はもう少しだけ、続きそうだ。(加藤 弘士)

編集部おすすめ