初代・楽長次郎の「黒茶碗 銘 源太黒」は、千利休による銘を備え、表千家と所縁の深い豪商・鴻池家に伝わったもの。鴻池家は長次郎作の名碗七つ「長次郎七種(利休七種)」のうち三碗を蔵していたことで知られ、そのほか、鴻池家が有した著名な長次郎作の碗として「閑居」「太郎坊」と並び「源太黒」が挙げられる。本碗が公開型の競りの場に出てきたのはおよそ90年ぶり、鴻池家の分家筋にして別格の「三別家」と称された閑楽庵の入札(1938年)以来となる。
21日に行われた同碗の競りは3000万円からスタートし、事前入札同士の競り合いによって4000万円台に到達。その間も鳴りやまないオンラインと会場からの入札、また電話が次々と重なり合う中で、価格は8000万円、1億円と続き、やがてオンラインからの参加者同士の一騎打ちとなり、価格は大きく伸長。会場が沸き立つ中、最終的に2億3000万円で落札された。
このほか、日本近代工芸を代表する作家、板谷波山の「彩磁葡萄文香爐」は、1000万円のあたりから三者による三つ巴の様相を呈し、やがて電話同士、静かな熱意のこもる力強い競りに移行して1782万5000円で決着。現代陶芸の鬼才、加守田章二の晩年の傑作「一九七九 壷」は、事前入札を超えた900万円に差し掛かったあたりで電話による一対一の応酬がはじまり、最終的に1322万5000円。そのほか岡部嶺男の「灰釉瓶子」も力強く競り上がり、954万5000円の高額落札となった。
21日は茶碗を中心に茶の湯で用いられる道具を広く取り揃えた「茶道具」、22日は近代以降の制作となる工芸を主とした作品のうち、より鑑賞性の高い作品で構成された「新作工芸」をそれぞれ扱い、2日間にわたる競りの落札総額は約4億6600万円(手数料込、以下同)を達成した。
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