馬トク報知で過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】。今回はロゴタイプが勝った2016年の安田記念を取り上げる。

国内外でG1・4連勝中だった絶対王者モーリスの快進撃を止めた「番狂わせ」が非常に印象的な一戦だ。

 

 鮮やかな逃走劇で打ち崩した。田辺に導かれ先頭で直線を迎えたロゴタイプが、ただ一頭、ラチ沿いぎりぎりの最内を突き進む。右ムチに応えて脚を伸ばすたびに、スタンドからのどよめきが大きくなる。外から迫り来るはずのモーリスは、まだ来ない。最後は1馬身1/4差をつけてゴールに飛び込んだ。

 「久しぶりで、すごく気持ちいいです!」。16頭立て最低人気のコパノリッキーで大金星をつかんだ2014年フェブラリーS以来のG1・2勝目。今回はG1・4連勝中で単勝1・7倍、世界ランク3位のモーリスを封じ込んだ。8番人気の伏兵で再び演出した波乱の結末。鞍上はガッツポーズで胸を張った。

 

 作戦がずばりとはまった。

「賭けだったけど、先生とも相談して他馬が行かなければ主張していこうと思っていた。絡んでくる馬もいなくてリラックスして走れた」。選択したのは2歳時の札幌2歳S以来となる逃げの手。武豊のディサイファを制して思惑通りに先頭へ立ち、600メートル通過35秒0の緩い流れに持ち込むと、2番手でかかり気味のモーリスを尻目にマイペースを貫いた。

 前夜に雨は降ったが「それまでのレースから内が完全にダメとは思っていなかった。他馬が馬場のいいところを走るなら、自分は内を通ってやろうと決めていた」。強い意志で、大仕事をやってのけた。 ハイタッチで鞍上を迎えたのは田中剛調教師。2013年の皐月賞を勝ったあと16戦未勝利の愛馬にとって、実に3年2か月ぶりの白星だ。

 「クラシックホースとして馬も厩舎も頑張ってきたけど、周りからは『終わっちゃったの?』とも言われていた。6歳まで無事に走り続けてくれたロゴと田辺君に感謝ですね」。長いトンネルの果てにつかんだ勝利に喜びをかみしめた。

「次は中京記念でもと思っていたし、最後は興奮して机を蹴っ飛ばしてしまった。冷静になってから今後は考えます」と指揮官は笑うが、3つめのG1タイトルを加えて可能性はさらに広がった。

 「G1で1番人気の馬を依頼される騎手はすごいし、目指すのはそういうところ。中山が一番合うとも思ったけど、皐月賞馬だしマイルにこだわらなくてもまだまだ頑張れる」と田辺。再びスターダムに躍り出る。

 その後、翌年秋まで現役を続け、連覇を狙った安田記念ではサトノアラジンに首差2着。勝ち星こそなかったが、一線級で走り続けた。何より2歳6月の函館でデビューし、朝日杯FSを制しながらも、7歳秋まで重賞戦線をわかせた息の長い競走生活は多くの競馬ファンの脳裏に刻み込まれている。

 〈連覇ならず… モーリスはまさかの2着 連勝は7でストップ〉

 単勝1・7倍。多くのファンが直線で伸びあぐねるモーリスの姿に悲鳴を上げた。昨年の安田記念から続いたG1の連勝は4で、条件戦からの連勝は7で止まり、連覇はならなかった。 チャンピオンズマイルを楽勝し、世界のマイル王として臨んだ凱旋レース。

香港から帰国後はトレセンではなく初めて競馬場での調整だったが、テンションや状態面に不安はないように映った。

  ところが、レースが始まると一変。発馬直後から鞍上が抑えきれないほどの勢いで一気に2番手へ。「ペースが思っていたよりも遅かったし、前に馬を置いて運べなかったぶん、かかってしまった…」と初コンビのTベリー。前半4ハロン47秒0というG1にしては遅い流れの中で、ようやく落ち着きを見せたのは3コーナー過ぎだった。

  自身が強すぎるがゆえに、出走頭数はフルゲートを大きく割り込む12頭立て。結果的に徹底した逃げ馬不在のメンバー構成もマイナス要因となった。敗因は前半の体力の消耗に尽きるが、それでも後続は完封。2着を確保した走りに改めて能力を感じさせた

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