太陽系外惑星に磁場が存在する最も強い証拠が発見される
太陽系外惑星の巨大ガス惑星の磁気活動のイメージ図 Image credit:International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/M. Garlick

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 太陽系外にある7つの灼熱のガス惑星「ホットジュピター」の風速を測っていた天文学者チームが、磁場の存在を示すこれまでで最も強力な証拠を偶然つかんだ。

 フランスとチリの国際研究チームによると、恒星のすぐそばを猛スピードで公転するこれらのガス惑星は、木星や土星と同じ水準の磁場を持つとみられる。

この研究成果は『Nature Astronomy[https://www.nature.com/articles/s41550-026-02870-1]』誌(2026年6月2日付)に掲載された。

地球上の生命を守る磁場の働き

 地球が今も生命であふれているのは、目に見えない磁場のおかげでもある。

 地球の内部では溶けた鉄やニッケルが対流し、惑星全体を包む磁場を生み出している。

 この磁場が宇宙から降り注ぐ高エネルギーの放射線を弾き飛ばし、大気が宇宙空間に剥ぎ取られるのを防いでいる。

 磁場を持たない惑星がどうなるかは、火星を見ればわかる。

 かつて液体の水をたたえていたとみられる火星は磁場を失ったことで大気が薄くなり、水も蒸発し、今では生命が存在できない荒涼とした世界になったと考えられている。

 ただし、ガス惑星となると話は別だ。

 木星や土星などの巨大ガス惑星にも強力な磁場があるが、地球型生命に不可欠な「固い地表」と「安定した液体の水」が存在しない。

 猛烈な大気循環によって有機物が超高温・高圧の深部へ引きずり込まれ破壊されるからだ。 

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太陽系外の惑星に磁場は存在するのか?

 太陽系外惑星は、太陽以外の恒星を周回する惑星のことで、天の川銀河内で現在6,000個以上が確認されている。

 太陽系外惑星の磁場を測定しようとする試みは以前から行われてきた。

 しかしこれらの惑星は地球から途方もなく遠く、磁場を直接観測できる技術はなく、間接的な手がかりを探るしかなかった。

 過去にいくつかの研究が磁場の存在を示唆する証拠を報告したものの、いずれも決定的とは言えないものだった。

 磁場の強度を実際に推定することは、長年にわたって天文学者たちの前に立ちはだかる難題であり続けた。

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太陽系外ガス惑星の磁場の証拠を偶然つかむ

 フランスのコート・ダジュール天文台ラグランジュ研究所のジュリア・ザイデル氏らの国際研究チームは、もともと磁場ではなく風を調べようとしていた。

 対象に選んだのは、ホット・ジュピターと呼ばれる太陽系外の巨大ガス惑星7つだ。

 ホット・ジュピターは主星のすぐそばを数日以内という短い周期で公転しており、主星の重力に強く引っ張られた結果、常に同じ面を主星に向け続ける潮汐固定(ちょうせきこてい)という状態になっている。

 月が地球に対して常に同じ面を向けているのと同じ現象だ。

 主星に面した昼側は灼熱地獄、反対側の夜側は極寒という極端な温度差が生まれ、昼側から夜側へと吹き荒れる猛烈な風が大気を駆け巡る。

 チームはハワイのジェミニ北望遠鏡に搭載されたMAROON-Xと、チリのアタカマ砂漠にあるヨーロッパ南天天文台のVLTに搭載された2つの高精度分光器を使い、惑星の大気中に含まれる鉄などの化学物質が発する光のパターンを追跡し、大気がどの方向にどれだけの速さで動いているかを検出していた。

 測定された風速は時速約7,200kmから時速25,000km超に及び、木星で観測された最速の風の時速約1,500kmをはるかに上回る凄まじい数値だった。

 ところが、7つの惑星の風速と温度のデータを並べたところ、惑星の温度が高いほど、風速が遅いことに気が付いた。

 温度が高ければ大気のエネルギーも大きく、風はより速く吹くはずだが、実際のデータはまったく逆だった。

 研究チームが理由を探った結果、磁場の存在が最も整合性のある答えだという結論に至った。

 磁場は大気中の荷電粒子(電気を帯びた粒子の動き)に対してブレーキとして働く性質を持つ。

 惑星が熱くなるほど大気中の荷電粒子が増え、磁場によるブレーキ効果が強まるため、風速が抑えられると考えられる。

 風速と温度の関係から逆算することで、チームは各ホットジュピターの磁場の強さを推定することができた。

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太陽系のガス惑星と同じような磁場強度

 推定されたホットジュピターの磁場強度は、土星の磁場の約4倍、木星の磁場の約半分という値だった。

 土星の磁場は赤道付近で約0.2ガウスであり、今回の系外惑星の磁場はおよそ0.8ガウス前後と推定される。

 ちなみに、地球の磁場は場所によって異なるが約0.3~0.6ガウスだ。

 数値だけ見ると近い水準に見えるが、地球は岩石惑星でありガス惑星とは磁場の発生メカニズムが根本的に異なるため単純な比較はできない。

 太陽系外の灼熱のガス惑星が太陽系のガス惑星と同じ水準の磁場を持つという事実は、惑星の磁場に関するこれまでの理論モデルを見直す必要性を示唆している。

 ザイデル氏はこの発見について、他の世界の磁気環境を初めて比較できるようになったことで、ガス惑星以外の太陽系外惑星が、大気を保ち続け、水を持ち、いつか生命を宿せるのかを理解するための重要な一歩だと述べている。

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磁場がオーロラを引き起こしている可能性

 強い磁場を持つ惑星では、地球の北極や南極で見られるオーロラと同じ現象が起きている可能性がある。

 太陽から飛んでくる荷電粒子が磁場に捕まって極方向へ誘導され、大気中のガスと衝突して光を放つのがオーロラだ。

 今回研究されたホット・ジュピターでは主星からの荷電粒子の量が太陽の比ではなく、地球のオーロラをはるかに超える規模の発光現象が起きているとみられる。

地球型岩石惑星の磁場なら生命体を探す手がかりに

 今回研究されたホット・ジュピターは灼熱のガス惑星で、生命が存在できる惑星ではない。

 だが、チームが開発した風速から磁場を推定する手法は、将来的にハビタブルゾーンで、地球に似た岩石惑星にも応用できる可能性がある。

 岩石惑星における磁場は、生命が存在できる環境を守ってくれる。

 生命が生まれ育つには液体の水、体をつくる有機物、そして太陽光や地熱のような生命活動を支えるエネルギー源という3つの条件が必要だと考えられている。

 磁場はこの3条件を惑星の上にとどめておくための保護シールドの役割を果たしてくれるという。

References: DOI 10.1038/s41550-026-02870-1[https://www.nature.com/articles/s41550-026-02870-1] / Strange winds reveal strongest hints yet of magnetic activity in exoplanets[https://www.eurekalert.org/news-releases/1130207]

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