2021年に和歌山市で発生し、当時22歳の女性が死亡した多重事故をめぐり、危険運転致死傷などの罪に問われている女(56)の裁判が始まりました。
女は一度不起訴となったものの、遺族の申し立てを受けた検察審査会が「不起訴不当」を議決し、検察の再捜査の末に起訴されました。
事故発生から5年。初公判で女は無罪を主張しました。弁護側は意識障害による事故としたものの「てんかん」が影響していない可能性があると主張しています。
■多重事故で22歳女性が死亡 検察側「てんかんの発作」
起訴状によると、和歌山市の美容室経営・西馬淳子被告(56)は、2021年7月、てんかんの影響で正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で普通乗用車を運転。
同市の「紀の川大橋」の上で、てんかん発作により意識障害を起こし、右折待ちをしていた車に追突して玉突き事故を起こしたほか、追突の衝撃で対向車線にはみだして原付バイクに衝突。
バイクを転倒させ、乗っていた竹田汐里さん(当時22)を死亡させたほか、2人にケガをさせたとして、危険運転致死傷の罪に問われています。
■「危機意識が甘すぎると評価せざるをえない」 検審が「不起訴不当」を議決
和歌山地検は、西馬被告を一度は不起訴としましたが、亡くなった竹田汐里さんの遺族が不服として、検察審査会への審査を申し立てました。
検察審査会は、事故前に西馬被告が、医師から2回“車の運転は禁止”と注意されていた点などを指摘。
「免許更新時における持病に対する危機意識はもちろんのこと、事故前や事故当日における自動車運転に対する危機意識が甘すぎると評価せざるをえない」「過失運転致死傷罪での起訴の可能性を、より積極かつ広範に検討すべき」として、2023年6月に「不起訴不当」を議決。
議決を受けた和歌山地検は再捜査を行い、2024年7月に西馬被告を危険運転致死傷の罪で起訴しました。その後の公判前整理手続きも長期化していました。
■事故発生から5年の初公判 主張は対立
事故から約5年を経て、6月1日に和歌山地裁で開かれた初公判。
西馬被告は「事故を起こしたことに間違いありません。てんかんの発作が起きたわけではない、自分はてんかんではないと思っていた。運転しているときに意識障害が起きるとは思っていなかった」と述べ無罪を主張しました。
弁護側は、「被告は脳腫瘍の手術を受けた。その後、物忘れをするようになったり、新しいことを覚えにくくなった」「運転してはならないという認識がないまま運転した。てんかんの認識がないから危険運転致死傷にあたらない」などと主張し、争う姿勢を示しました。
意識障害により起きた事故ではあるが、てんかん発作でない可能性がある、という主張です。これに対して検察側は…。
■検察「てんかんよ」と答えていた
一方の検察側は冒頭陳述で、「脳腫瘍手術を受け、12年前にけいれん発作を起こして、抗てんかん薬の処方を受けていること」「医師が、けいれん発作がてんかんによるもので、自動車の運転をしてはいけないと伝えたということ」「2021年1月(事故の約半年前)の免許更新時に、意識を失ったことがあるの欄に【いいえ】とチェックして免許更新を受けた」などと指摘しました。
検察側はまた、事故を起こす前まで「被告は同乗していた姉と会話をしていたが、紀の川大橋に差しかかった時に言葉を発さなくなった。事故直後に姉の問いかけに対し、『てんかんよ』と答えた」と当時の状況の詳細について主張しました。

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