<合掌・桂米朝、享年89>「地獄八景亡者戯」を聞いて妄想する娑婆より豊かな「地獄の興行」

       
高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]

* * *

桂米朝さんが亡くなった。享年89歳。

筆者は、東京で米朝さんを3回聞いている。国立小劇場の落語研究会。今はもうない渋谷東急デパートにあった東横ホールの東横落語会。新宿紀伊国屋ホールの紀伊國屋寄席。演目は忘却の彼方だ。

追悼のためには米朝さんの噺を聞こう。何にするか。「蛇含草」も「七度狐」も「三十石夢の通路」もみんな好きだけど、そうだ「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)を聞こう。

元はカセットテープ。CDにもなっている。平成2年4月22日京都府立文化芸術会館にて収録と書いてある。1時間8分もある大ネタだ。出囃子の「都囃子」とともに、米朝さんの張りがあって華やいだ声が聞こえてくる。

サバの刺身を食べて食当たりで死んだ男が冥土への旅路で伊勢屋のご隠居と再会するところから語り始める米朝さん。全編に時事ネタを入れて喋らなければならないこの噺は「源平盛衰記」と似た構造だと思う。

鳴り物が入り猥雑な大阪の噺。でも米朝さんにかかると不思議にキレイで上品な口演になる。

地獄で閻魔大王の裁きを受けるために、次々とやってくる亡者たち。地獄は「古来ある地獄」とは様々なところで様相を変えていた。

 「戦後この方いろいろなことが急速に変わって、キレイだった三途の川の水も上流に工場が建って以来、濁ってきた」

六道の辻にある、六股にわかれた道、そのひとつに芝居街という興行街がある。歌舞伎小屋があって、劇場があって、寄席も映画館もある。娑婆の興行よりも地獄の興行は、ずうっと豊かだ。

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