ついに念願のスバルを手に入れたのが2010年の9月。思っていたより時間がかかってしまった。
クルマを飾っておく趣味はない。どこへでも走っていきたい。そんな時に出会ったのが、この赤のスーパーデラックス。
今まで見てきた中でもピカイチにキレイで、状態も完璧。前のオーナーに可愛がられてきたことがひと目でわかる。
大貴さんの愛車は1968年式のP52型スーパーデラックス。ずっと思い描いていたイメージでは、ボディ色はホワイト系だったそうだが、運命的に出合ったクルマのボディ色はご覧のように「ブリリアントレッド」だった。今はこの色が大のお気に入りに。
古いクルマだから手はかかるが、そこがまた可愛い。ただし、運転だけはちょっと大変だったかもしれない。
というわけで毎日、近所の道を運転しまくってドライビングテクニック向上を目指しながら、交差点の真ん中で動かなくなるという洗礼も浴びた。それでも整備して点検して磨いて、特注のボディカバーをかけ、冷え込む夜は断熱シートも入れて世話してやっているうちに、初めはどこか他人行儀だったようなスバルが、だんだん心を開いてくれてるような気がしてきた。
そんな時である。「大貴誠誕生パーティー」がOSKの本拠地である大阪で開かれることになり、大貴誠は「そうだ!」と思いついた。
「自分の家のある横浜から大阪まで、旧街道をスバルに乗って行ったらどうだろう? 絶対に面白い!」
これが無謀なアイデアなのか、そうじゃないのかもわからないまま、運転計画をたてる。地図を見ながら面白そうな道をピックアップ。距離を測り、スバルが出せるスピードから計算して、1日約120㎞進む、3泊4日のコースを決定。横浜を出発して、ゴールは大阪・通天閣が見える場所。
こうしてスバル360の旅が始まった。1泊目、静岡の丸子宿。
いいえ、想像「以上」に楽しかった。いろいろなことがありすぎて、それがいちいち面白すぎて、それはすべてスバルに乗っていたから経験できたことなのである。
旅への出発前に整備指南を受ける
今年の年明け早々に、スバル360を購入した加藤モータースに出向き、スバルの日常整備の方法を教えてもらった。
「もし旅先で調子が悪くなったとしても、できるだけ自分で対処したい」という大貴さんの考えに、加藤代表も快く協力した。
掲載:ノスタルジックヒーロー 2011年 04月号 vol.144(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)