普天満宮洞穴遺跡で出土した石英製の剥片(はくへん)石器が、県内最古のものと確認された。
 県内では旧石器時代の人骨や石器など画期的な発見が相次いでおり、はるか昔の人々の暮らしぶりに迫るロマンをかき立てる成果だ。

 沖縄国際大学考古学研究室が2024~25年度に実施した発掘調査で、約1万8千~1万7千年前の旧石器時代の地層から見つかった。
 出土したのは、大きさ1~2センチほどの剥片石器。原石となる母岩を打ち欠いて、薄く剥がし作ったものだ。
 同様の石器は南城市のサキタリ洞遺跡、石垣市の白(しら)保(ほ)竿(さお)根(ね)田(た)原(ばる)洞穴遺跡からも出土しているが、これまで県内で確認された最古のものになる。
 興味深いのは、過去の調査で同じ層から人為的な傷が付いたイノシシの骨が発見されていたことである。今回出土した石器で肉を剥がした痕と考えられるという。 
 洞穴に住んでいた旧石器人が、イノシシを捕らえ、加工した石器を使って食べる姿を思い描く。
 ばらばらの発見が意味を持ったストーリーとしてつながる。これこそが考古学の醍(だい)醐味(ごみ)なのかもしれない。
 同研究室は22年度から普天満宮洞穴遺跡調査を始め、これまでも人の活動痕跡としては県内最古級となる約3万2千年前の炉(ろ)跡(あと)を発見するなど数々の成果を挙げている。
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 沖縄に人類が渡ってきたのは、約4万~3万年前の旧石器時代とされる。
 那覇市山下町で見つかった山下洞人は約3万2千年前の人骨で、旧具志頭村の港川人は約1万8千年前とされる。

 沖縄が旧石器人骨の宝庫と言われるのは、サンゴ礁起源の石灰岩が広く分布し、骨の保存にとても適した地域だからでもある。
 一方でなかなか見つからなかった石器などのモノが、ここ十数年の間に次々と発見されるようになった。研究者らの情熱と努力のたまものだ。
 サキタリ洞遺跡からは約3万5千~1万4千年前にかけての人骨や石器、貝製の釣り針や顔料で着色された貝製ビーズなどが見つかっている。
 海で釣り糸を垂れ、装飾品で身を飾る、そんな暮らしぶりだったのだろうか。生活や文化の一端が垣間見えるようで好奇心をくすぐる。
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 県内の考古学者の間で「空白の1万年」と言われる謎の期間がある。
 約1万8千年前に港川人が発見された旧石器時代と貝塚時代の間に横たわる遺物の乏しい時期のことだ。
 その空白を埋める鍵となりそうなのが、サキタリ洞や普天満宮洞穴遺跡での相次ぐ発見である。
 われわれの祖先はどこからやって来て、どのような暮らしをしていたのか。
 地中に眠るロマンに息を吹きかけ、この時期の研究がさらに進むことを期待したい。
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