25年たった今、この映画のことで真っ先に思い出すのはマギー・チャンの体にぴたりと張り付いたチャイナドレス。膝丈より少し長いけどサイドには深くスリットが入り、襟は異様に高い。
究極の美を追求したそのフォルムは、人妻である彼女の身体だけでなく心の自由までも厳しく制限し、けれどその肉体はキツく締め付けられるほど、トニー・レオンという魅惑の既婚者に近づこうとする。
 短い袖から伸びた白くて長くて細い腕、左手の薬指で輝く指輪。一挙手一投足がすべての視線をくぎ付けにするその美しい人妻は、見られていることを知ってか知らずか、運命に導かれるように道ならぬ恋へ足を踏み入れる。
 ウォン・カーウァイ監督の名を世界に知らしめた本作。公開25周年を記念した今回の上映は、幻と言われた愛の短編も特別に同時上映。
(桜坂劇場・下地久美子)
◇桜坂劇場で上映中
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