歌舞伎俳優の市川團十郎と市川新之助の襲名披露公演を追った三池崇史監督初のドキュメンタリー映画『襲名』(9月25日公開)が、「第83回ベネチア国際映画祭」の公式独立賞「Cinema & Arts Awards」で最優秀作品賞を受賞した。主催者によると、日本作品の同賞受賞は初めて(是枝裕和監督『ルックバック』とダブル受賞)。
これを受け、團十郎が12日、取材に応じた。

 受賞の知らせは、自宅で長女の市川ぼたんにベネチアでの出来事を話していた最中に届いたという。團十郎は「自分のことというよりも、作った方々すべてに『おめでとう』という気持ちです。皆が喜んでいる姿を考えると、本当にうれしい」と喜びを語った。

 4年間にわたった撮影を振り返り、「困難の中でも心を折らず、作品と向き合ってくれた方々への受賞だと思っています」とスタッフをたたえた。自身については「いつも通り舞台をしていて、カメラが回っているときにせりふをしゃべっていたわけでもない。本当に何もしていない」と謙遜した。

 三池監督が「市川團十郎の快挙だ」とコメントしたことを伝えられると、「どうでしょうか。三池監督の快挙じゃないですか。映画は映画監督の世界。その中で私は生かされている」と返答。「三池さんでなければ成立しない作品で、三池さんでなければ、この賞も頂戴できなかったと思います」と感謝した。


 海外で歌舞伎文化が評価されたことについては、「海外の方々、ヨーロッパの方々は、文化や伝統にすごくリスペクトと興味がある」と実感を口にした。その一方で、“世界の團十郎”と呼んでもよいのではと問われると、「なんか、それ軽いですよ(笑)。よくみんな“世界”とか言うじゃないですか。でも、僕は日本の團十郎がいいです」ときっぱり。

 今後は海外公演を含む活動を増やしていく考えも明かしながら、日本の歌舞伎を軸に置く姿勢を強調。「海外で認められたこの作品を、日本の文化がどういうものかを、日本の方々にも見ていただくことが、私としては一番大事なのかなと思います」と語った。
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