※本稿は、中野崇『最強の身体操作 プロが実践する連動スキルの磨き方』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
■ケガ予防のために鍛えるべき身体の部位
身体操作の最も基礎となるのが「力の伝達」です。
力の伝達は「身体のつながり」を高めることで向上しますが、そのカギとなるのが深層筋群です。
代表的な深層筋群には、次のような筋肉が挙げられます。
・足部にある長母趾屈筋や母趾外転筋
・股関節の安定に関与する外旋六筋(がいせんろくきん)や恥骨筋
・背骨の深部にある回旋筋や多裂(たれつ)筋
・体幹深部にある横隔膜、腸腰筋、腹横筋、骨盤底筋
・肩関節のローテーターカフ
「筋力への依存度が高い動作」というのは、「深層筋群が十分に機能せず、アウターマッスルが過剰に働いてしまう状態」になっています。そこで、深層筋群を活用することでそれ以外の筋肉への負荷を減らすことができます。
深層筋群には動きの中で関節の安定性を保ち、骨格内での力の伝達をスムーズにする働きがあります。
関節の安定性がスポーツにおいて重要なことは言うまでもありません。
安定性が低いと、力が適切に伝わらずに途中で逃げてしまいます。そのため動作の効率が落ちるだけでなく、ほかの筋肉や組織が(安定性の低い部位を)かばうような働きを強いられます。
もちろんケガのリスクも高まります。
■肩関節、股関節は力の伝達ロスが生じやすい
また、深層筋群が適切に機能すれば、身体全体で生み出した力をムダなく道具(たとえばバットやラケット)や地面に伝えることができるため、ロスがありません。
実は、身体には骨格構造上、力の伝達ロスが特に生じやすい部位があります。次の部位です。
・足部(距骨下関節・距腿関節、足底アーチ)
・股関節
・背骨
・肩甲骨、肩関節
これらの部位の共通点は何だと思いますか?
伝達ロスが生じる部位は、関節が球状だったり、縦長状だったりすることで、関節面が不安定になりやすいという特徴があります。
たとえば、肩関節は先端が球状になった腕の骨(上腕骨頭)が肩のくぼみ(関節窩)にはめ込まれているだけです。可動域が広い反面、安定性が悪いと言えます。
■筋肉を酷使せずとも大きなパワーは発揮できる
どのスポーツでも、パフォーマンスを向上させようとするときに筋力を強化するだけでは必ず頭打ちがきます。ケガが増えてくることも想像がつくと思います。
しかし、それでもパワーは上げたい。
多くの選手はそんなジレンマに悩んでいます。
私がお伝えする「身体操作」は、そういったジレンマをも解消する手段になります。
筋力が同じでも、身体操作が違えば出力も動きの洗練度も変わります。洗練度とは、疲れにくさや予備動作の最小化などをイメージしていただくとわかりやすいでしょう。
競技レベルが上がれば上がるほど、「どう動くか」の追求が不可欠になります。
「筋力への依存度を下げながら、大きなパワーを発揮できる動作パターンを身につける」
これを理想論だと揶揄(やゆ)する人もいるかもしれませんが、実際にトップアスリートたちは実現しています。
身体操作トレーニングを導入した選手たちの多くが、どんどん「理想」へと近づいていることも事実です。
身体操作トレーニングでは、次のような道筋をつくります。
目標:筋力への依存度を下げつつ、最大限のパフォーマンスを引き出すための動作パターンを獲得する
そのために、
・4つの「動きの協力者」を有効的に活用できるようになる
・「身体のつながり」を高めて、「動きの協力者」の力をムダにしない
結果:「エネルギーリターン」率がアップし、パフォーマンスの向上を実現する
では、具体的な「身体操作トレーニング」の中から、今回は「フェーズ0」のトレーニングである上部肋骨の動きを向上させる「上部肋骨回し」をご紹介しましょう。
「フェーズ0」の段階では動きの大きなトレーニング動作は行いません。その分、じっくりと自分の内部の感覚に意識を向けていく内容になっています。
足部であれば、ただ地面に立つのではなく、足趾や足裏にかかる細やかな圧の変化を感じ取る。股関節であれば脚を動かす・支える際に股関節の球構造を感知できているかを確かめる。骨盤や背骨、肩甲骨も同様に、内部の感覚に重きを置きながら整えていきます。
■肩甲骨の可動性をアップさせる【上部肋骨回し】
1.鎖骨中央の位置で肋骨をこする
鎖骨中央に位置を決めるのは、“断面”の意識をつくるため。これが意識できると上部肋骨を動かす感覚がつかめるようになる。逆側も同様に行う。
2.手の平で下部肋骨・お腹を叩く
叩くのはお腹が安定しやすくなるため。下部肋骨やお腹を固定しておくことで、上部肋骨だけを効率的に動かすことができる。
3.肩をゆっくり、交互に後ろ回しする
鎖骨中央の“断面”でズレ合うような感覚を意識しながら肩を回す。回す軌道が小さいほうが断面を意識しやすい。慣れてきたら大きく回す。
上部肋骨とは胸郭の上3分の1にあたる部分。ここが固まって動かないと肩甲骨の可動性が低下し、体幹の力を腕に伝えにくくなります。
このトレーニングでは鎖骨中央に“断面”を意識するのがポイント。肩を動かす動作はどうしても肩に注力しがちですが、断面をつくることでふだん動きにくい上部肋骨にピンポイントにアプローチでき、動きを高めることができます。
〈ここをチェック〉●背骨だけでなく肋骨がグリグリ動いている感覚を追いかける
●肩が疲れてきてしまうのはNG(背骨・肋骨が十分に動かせていない)
筋トレを頑張っているのにパフォーマンスが上がらないと悩んでいるなら、ぜひこの身体操作トレーニングを取り入れてみてください。
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中野 崇(なかの・たかし)
スポーツトレーナー/フィジカルコーチ/理学療法士
株式会社JARTA international 代表取締役。1980年生まれ。大阪教育大学教育学部障害児教育学科(バイオメカニクス研究室)卒業。2013年にJARTAを設立し、国内外のプロアスリートへの身体操作トレーニング指導およびスポーツトレーナーの育成に携わる。イタリアのトレーナー協会であるAPF(Accademia Preparatori Fisici)で日本人として初めてSOCIO ONORATO(名誉会員)となる。イタリアプロラグビーFiamme oroコーチを務める。また、東京2020パラリンピック競技大会ではブラインドサッカー日本代表フィジカルコーチとして選手を支えた。YouTubeをはじめとするSNSでは、プロ選手たちがパフォーマンスを高めるために使ってきたノウハウを一般の人でも実践できる形で紹介・発信している。著書に、『最強の身体能力 プロが実践する脱力スキルの鍛え方』(かんき出版)がある。
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(スポーツトレーナー/フィジカルコーチ/理学療法士 中野 崇)

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