■厳罰化が進む自転車交通ルール
今年3月、都内のある場所で、警察官が自転車に乗った女性を呼びとめて話をしていました。そこは普段から交通事故がとても多い交差点。そのため、「一時停止」の標識がありますが、女性が止まらず通過していたので、警察官は厳重注意するとともに警告書を手渡したのです。
このように、警察官が自転車の運転者に対して指導を行う様子をよく見かけるようになりました。近年、増加傾向にある自転車での交通事故を減らすため、警察は本腰を入れて交通違反の指導・取締りに踏み切ったのです。
2024年11月1日からは「運転中のながらスマホ」「酒気帯び運転およびほう助」を行った場合、懲役または罰金が科せられるようになりました。
さらに、今年4月1日からは「交通反則通告制度」が導入され、冒頭のように一時停止をしなかった場合、警告書だけでは済まされず、反則金が科せられる可能性が出てきました。従来、この制度は自動車や一般原動機付自転車にしか適用されませんでしたが、今後は自転車も対象です。
■「交通反則通告制度」とは何か
交通反則通告制度とは、運転者が比較的軽い道路交通法違反をした場合に、警察官から「交通反則通告書(いわゆる青切符)」と、反則金の「納付書」が渡される制度です。一定期間内に反則金を納めれば、刑事裁判や家庭裁判所の審判を受けずに手続きが終了し、前科もつきません。反則金詐欺が行われているようですが、その場で警察官が現金を求めることはありませんから渡さないようにしましょう。
なお、対象者は大人だけではありません。
こうした青切符の対象になるのは、以下のような携帯電話使用等(保持)、遮断踏切立入り、信号無視などです。警察庁の「自転車ポータルサイト」を見て、ルールを確認しておいたほうがいいでしょう。
〈反則金の例〉
●携帯電話使用等(保持)……12000円
●遮断踏切立入り……7000円
●信号無視、安全運転義務違反、通行区分違反(逆走、歩道通行等)、横断歩行者等妨害等……6000円
●指定場所一時不停止等、無灯火、自転車制動装置不良……5000円
●併進禁止違反、軽車両乗車積載制限違反(二人乗り等)……3000円
■うっかり行いがちな違反パターン
なにしろ、自動車と違って自転車には教習制度も免許制度もないため、交通ルールが意外と知られていません。そこで、違反だと気づかずにやってしまいがちな事例をご紹介します。
事例1 並走
Aさんは、友人のBさんと並んで話しながら自転車に乗っていました。すると、警察官に呼び止められ、「自転車は一列で走らせなければいけない」と注意を受けることに。二人はそんなルールがあるのを知らなかったと不満を述べましたが、AさんとBさんには指導警告票が手渡されました。
事例2 イヤホン使用
Cさんは、会社帰りにスマホで音楽を聴きながら自転車を運転していたところ、警察官に呼び止められ、「周囲の音が聞こえない状態での運転は危険です。イヤホンを外してください」と注意を受け、指導警告票を手渡されました。
事例3 歩道通行
Dさんは、定年を迎えた初老の男性。
このような事例は誰もがおこないがちですが、今後も指導警告票を渡されることになります。また、悪質な場合は「青切符」を切られ、反則金が科せられることもあるので注意しましょう。
■必ず検挙されるというわけではない
ただ、よく誤解されているのですが、こうした違反を1回でもしたら、必ず全員が検挙されるというわけではありません。
警察庁の「自転車ルールブック」によると、今後も自転車の交通違反者に対しては基本的に「指導警告」を実施し、交通事故の原因になるような「悪質・危険な違反」のみが検挙され、「赤切符」や「青切符」の交付対象となります。
例えば、単に自転車で歩道を通行したというだけの違反で、交通事故を起こす危険性が低いなど、悪質・危険な違反に当たらないと判断された場合は、現場で「指導警告票」が交付されて指導警告を受けるだけです。
この指導警告は、自分自身が行った行為が交通違反になること、自らの違反の危険性や交通ルールを遵守すべきことの重要性を理解してもらい、再び違反を繰り返さないことを目的としています。
■青切符が切られる具体的なケース
では、検挙されて青切符が切られる――つまり反則金の対象になるのは、どのような場合かというと、「違反自体が悪質で危険なもの」という規定があります。
さまざまな反則行為の中でも、重大な事故につながるおそれが高い違反で、例えば遮断踏切立入り、自転車制動装置(ブレーキ)不良、携帯電話使用等(保持)などが挙げられます。また、違反の結果、実際に交通の危険を生じさせたり、事故の危険が高まっているときも、検挙の対象になります。例えば、以下のような場合です。
・違反により歩行者が立ち止まったり、他の車両が急ブレーキや急な進路変更といった回避措置を引き起こしたりしたとき。
・同時に2つ以上の違反を行い、事故の危険が高まっているとき。
つまり、自転車で歩道を走って歩行者にぶつかりかけたりすれば、それは青切符の対象になるというわけです。
最後に、違反について指導警告されているにもかかわらず、あえて違反を行ったときも検挙の対象になります。例えば、警察官による指導警告に従わなかったり、注意を受けたにもかかわらず違反行為を続けたりした場合は、検挙されます。
■赤切符が切られる具体的なケース
もう一つ、検挙されて赤切符が切られる――つまり刑事手続きの対象になるのは、どういう場合でしょうか。
赤切符の対象になるケースは、「違反態様が悪質で危険なもの」という規定があります。ですから、悪質で危険と判断されれば、赤切符が交付され刑事手続きによって処理されることになります。さらに自動車運転免許停止処分になることも。例えば、以下のような場合です。
・交通事故を起こした場合……逆走(右側走行)など青切符の対象となる違反でも、結果的に交通事故を起こしたときは、刑事手続きに進むことになります。
・重大な違反をした場合……酒酔い運転・酒気帯び運転・妨害運転をした場合、ながらスマホによって事故を起こしかけた場合などが対象です。
なお、14歳以上の自転車運転者が一定の交通違反を犯し、3年以内に2回以上反復して検挙されたり交通事故を起こしたりした場合は「自転車運転者講習」の受講が義務付けられます。3時間の講習で、6150円の受講料が必要になりますが、3カ月以内に受講しないと5万円以下の罰金が科せられるので、必ず受講しましょう。
■交通違反で捕まらないための鉄則
最後に、交通違反で捕まることなく、しかも安全に移動をするための4つの鉄則をご紹介します。
鉄則1 自転車が通行していい道を走る
自転車は、原則として自転車専用道路、または車道の左端を通行しなくてはなりません。ただし、「普通自転車等及び歩行者等専用」という標識があれば、自転車の通行も認められています。また例外として、道路工事や駐車車両等のため車道通行が難しいとき、著しく自動車の交通量が多い、車道の幅が狭いなど、通行すると事故の危険があるときは、歩道を通行することができます。ただし、歩行者優先で、すぐ止まれるよう徐行してください。
鉄則2 イヤホンは違反にならないものを
イヤホンをして自転車を運転すると、原則として5000円の反則金が科せられます。しかし、片耳だけの使用、オープンイヤー型イヤホンや骨伝導型イヤホンのように、装着時に利用者の耳を完全には塞がないものについては、安全な運転に必要な音や声が聞こえる限り違反にはなりません。とはいえ、実際には周囲の音が聞こえにくくなるので、十分な注意が必要です。
鉄則3 左側通行を厳守して逆走しない
日本の道路は、左側通行が原則です。しかし、大通りだったり、障害物が多かったり、目的地が反対側だったりすると、つい道路の右側を通行してしまうことも。
鉄則4 どの信号に従えばいいか確認を
自転車は、車道通行が原則。車道を通っているときは、車両用信号に従って通行します。しかし、歩道を通行しているときは、歩行者用信号に従って通行しなければなりません。ただし、この歩行者用信号に「歩行者・自転車専用」の補助標識がある場合は、車道を通行していても、歩行者用信号に従わなければなりません。このルールを守らないと、信号無視と見なされ、6000円の反則金が科せられることがあります。
自転車は、私たちにとって身近で便利な乗り物です。しかし、うっかり交通違反して検挙されると、青切符を切られて手痛い反則金を支払う事態に直面します。
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長 信一(ちょう・しんいち)
自動車運転免許研究所所長
1962年生まれ。1983年、都内の自動車教習所に入社。1986年、運転免許証の全種類を完全取得。指導員として多数の合格者を世に送り出すかたわら所長代理を歴任。「自動車運転免許研究所」の所長として運転免許に関する書籍や記事を執筆。手がけた書籍は200冊を超える。趣味はオートバイに乗ること。
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(自動車運転免許研究所所長 長 信一)

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