■「考え方×熱意×能力」の掛け算
才能を持った人や努力している人が常に成功し、豊かな幸せを手にしているわけではありません。学歴のない、経済的にも苦しい出自の人が事業で成功している姿もしばしば目にします。そんな人たちを見て「私のほうがいい大学を出ているのに」などと、妬む人も少なくありません。
才能もあって、人並み以上の努力もしているが、なぜか成功に恵まれない。そういう人たちに足りないのは人間としての正しい「考え方」である、と稲盛氏はいいます。人生や仕事の結果は、「考え方×熱意×能力(才能)」を掛け算した答え。このうち能力と熱意は0点~100点まである。だから「自分には才能がある」と驕って努力を怠った人よりも、才能に乏しくても熱意を持って努力した人のほうが、素晴らしい結果を残すことができます。
さらに重要なのは「考え方」です。考え方とは、生きる姿勢であり、人生で目指す方向性です。これはマイナス100点~プラス100点まであるので、どんなに才能に恵まれ、努力を重ねている人でも、考え方によって、人生の結果は180度変わってしまうというのです。
■「何を目指して生きるのか」が鍵を握る
稲盛氏は、京セラを創業して間もない頃に、この方程式を考えるに至りました。背景には、子どもの頃、親戚のおじさんがよく遊びに来ては酒を飲み、知り合いの議員を引き合いに出して「子どもの頃は俺のほうが優秀だった」とバカにしていたことがありました。
また稲盛少年は、おじさんが働かない自分を正当化して、「隣のバカは起きて働く。俺は賢いから、寝ていてもいいんだ」と、愚直に働いている人を見下していたことに強い反発を感じました。毎日早起きして一生懸命働く人のほうが偉いに決まっている。才能は熱意でカバーできる。さらに、その人の考え方がプラスかマイナスか、「何を目指して生きるのか」こそが人生の鍵を握ると気づいていったのです。
■優秀な努力家が「犯罪者」になるワケ
3つの要素は足し算ではなく、「掛け算」であることが重要です。組織的な大規模犯罪を犯すような人物は、何かしらの才能に秀でているといえるかもしれません。目標達成の熱意もあるのでしょう。でも、「人を騙(だま)してでも成し遂げたい」という悪い考え方(目的意識)のせいで犯罪に手を染めてしまうわけです。優秀な努力家でも、考え方がマイナスだと、どんなに能力(才能)や熱意があっても、結果は悪いものとなってしまいます。
「考え方」は「心」と置き換えてもよい、と稲盛氏はいいます。心こそが、人生を決めるのです。
人生や仕事の結果は、考え方と熱意と能力の三つの要素の掛け算で決まります。
(中略)
考え方とは生きる姿勢でありマイナス百点からプラス百点まであります。
考え方次第で人生や仕事の結果は百八十度変わってくるのです。
『京セラフィロソフィ』(サンマーク出版)より
■京セラは最初から世界一を目指していた
新しいことを成し遂げるためには、自分の可能性を信じ、勇気を持って挑戦する姿勢が大切、と稲盛氏はいいます。なのに多くの人は「大きな目標を掲げろ」といわれても、「今の自分にできるはずがない」と考え、「これならできそう」という無難なゴール設定にしてしまう。これでは、すべてが小さくまとまって人生が終わります。
人間の能力は努力し続けることによって無限に拡がると、稲盛氏はいいます。「未来では、もっとすごいことができる」と自分の可能性を信じることができなければ、何も叶うことはありません。
「人間には無限の能力がある」といわれて「そうに違いない」と簡単に信じ込むような人は、お調子者でいい加減に見えるかもしれません。しかし、あえてそうあれと、稲盛氏は教えています。
京セラの始まりは、京都の中京区西ノ京原町という、いわば街外れのエリアで、宮木電機製作所という会社から借りた木造倉庫でした。そんなささやかなスタートながら、稲盛氏は、従業員に「京セラをまず原町一の会社にしよう。次に中京区で一番の会社にしよう。その次は京都一に、そして日本一の会社に。それが叶ったら世界一の会社にしよう」と、当時から臆することなく壮大な夢を語っていました。
■楽天的だから身の丈以上の目標に挑める
しかし実際には、近所にあった京都機械工具という会社はたいへんな活況ぶりで、稲盛氏が深夜に帰ろうとしても、まだ作業の音が聞こえている。早朝に出勤すると、もう従業員は一生懸命働いている。当時の京セラにとっては一生かかっても超えられないと思うほど大きな存在でした。
ましてや中京区には、後にノーベル化学賞受賞者が現れるハイテク企業の島津製作所がありました。これを超えるのも途方もないことだと思いながら、それでも「中京区一、京都一、日本一、世界一」と夢を唱え続けていました。
それは「努力さえすれば必ず実現できる」と稲盛氏が信じていたからです。偉大なことを成し遂げる人には、きまってそんな楽天的な面があると稲盛氏はいいます。
大きな目標に対し「難しそうだ」と思うようでは逡巡(しゅんじゅん)やためらい、疑問が生じ、果敢に挑戦する心が萎えてしまいます。心の底から「できる」と思い込むことで、どんな障害をも乗り越える闘志が湧いてくるのです。
自身の可能性を疑わず、「世界一の会社にする」というような身の丈以上の目標をまず宣言するからこそ、考え方が変わり、行動が変わり、人間は無限に成長していくことができる。そう信じ続け、そして実証したのです。
何かを成し遂げる人は、困難にぶち当たったときでも、
(中略)
「無限の可能性を信じ、これから努力をすればいいだけのことだ」と信じ込む。
そういう人だけが、壁を突破していきます。
『考え方』(大和書房)より
■「手の切れるような製品を作れ」
稲盛氏は、最後まで手を抜くことなく、完璧といえる状態を目指し続け「最後の1%の努力を怠らない」意識の重要性を説きます。京セラのもの作りの鉄則は、「手の切れるような製品を作れ」。本当に素晴らしい製品に対し、人が触れるのもためらってしまうような畏敬の念を表した言葉です。稲盛氏は、製品開発の従業員にもしばしばこの言葉をかけ、高い成果を求めました。
京セラで半導体パッケージをファインセラミックスで作るための開発を行っていた際、こんな出来事がありました。研究開発部門が苦心の末に完成させたサンプルは、技術的な性能は十分にクリア。
■全工程で“良品”でなければならない
開発リーダーは性能に問題がないことを主張するも、稲盛氏は「見た目も触れれば手が切れてしまうのではないかと怖くなるくらい、美しいものでなければならない」と容赦なく突き返しました。
“十分”ではなく“完全”を目指す。この徹底した品質への執念が、稲盛氏の完璧主義の真髄です。
稲盛氏の完璧主義は、実体験に基づく切実な必要性から生まれました。セラミック製品の製造には、原料、成型、焼成といったさまざまな工程があります。そのすべての工程で良品でなければ、完成品とはならないのです。
京セラがまだ小さな会社だった頃、ほとんどが受注生産でした。顧客と約束した納期に合わせて製造した製品が、最終段階でわずかなミスにより不良品となってしまう。そこで納期の延期をお願いしに行った営業担当者が「ボロ会社に頼んだばかりに生産計画に狂いが生じた」と厳しく叱責され、半ベソをかきながら帰ってくることがありました。
■ちょっとしたミスで信頼関係が崩壊する
製造から納品までの全工程で、ほんの些細(ささい)なミスであっても、それまでの努力がすべて水泡に帰す。
こうした辛酸をなめてきた稲盛氏は「一瞬の気の休まる間もないくらいの完璧主義を貫き、パーフェクトを狙っていかなければならない」という信念を持つに至りました。
自分を信じ、すべての工程で妥協を許さない姿勢は、創造的な仕事の基盤。最後の1%の努力を怠らず、理想の実現まで粘り続ける情熱こそが、京セラを世界的企業にした原動力だったのです。
自分自身の努力を実りあるものとするためにも、常にパーフェクトを求めなければなりません。
『考え方』(大和書房)より
----------
稲盛ライブラリー
2013年、京都市伏見区にある京セラ本社の隣りに、稲盛和夫の人生哲学、経営哲学を継承する施設として開設。稲盛和夫の資料を収蔵・管理するほか、社会からの要請に応え、出版支援活動やウェブサイト等で情報発信を行う。また展示施設として、稲盛和夫の人生哲学、経営哲学をベースに、その足跡やさまざまな社会活動を紹介し、一般公開も行っている。日本はもとより世界各国から、経営者、企業幹部を中心に学生など幅広い年代が訪問する。
----------
(稲盛ライブラリー)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
