会社の上司や仕事先とのコミュニケーションにコツがある。経営コンサルタントの勝木健太さんは、20代後半~50代の会社員を対象に「同僚とのつきあい方アンケート」を行った。
彼らから得た、メール・チャット使用時におけるライフハックとは――。
※本稿は、勝木健太監修『同僚とのつきあい方』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。
■20代後半~50代の会社員が吐露した「深い後悔」
社会人生活を数年も経験すれば、同僚とのつきあい方について、やり直したいような後悔の記憶を誰でも抱えているものです。
雑談で相手のプライベートに踏み込みすぎてしまった。
あいさつの有無やちょっとしたひと言で、相手との距離が生まれてしまった。
飲み会での酔ったはずみの言動で、思わぬ気まずさが生まれてしまった。
同僚とうまくやろうと頑張りすぎたり、気を遣いすぎてしまったり。
その結果空回りして、あとから「ああしておけばよかった」と悔やむ。
社会人の先輩たちはそういった苦い経験を繰り返してきました。本稿では、そうした先輩たちの後悔や反省を紹介していきます。
新入社員世代から見て先輩世代に当たる20代後半~50代の会社員を対象に「同僚とのつきあい方アンケート」を行い、そこに寄せられた声を本書プロジェクトチームが整理し、分析しました。
先輩たちが教えてくれたのは、聞いているこちらまで頭を掻きむしりたくなるような、深い深い後悔の物語ばかりです。
同じ後悔を味わわないために、ぜひ、先輩たちの屍(しかばね)を踏み台にして、役立ててください。
■先輩からのメールに絵文字はOKなのか
【20代女性のモヤモヤ】メールやチャットで距離を縮めたい
社会人になって数年経った今でも、仕事でのメールやチャットでのコミュニケーションにまだ慣れていないところがあります。
1年目の頃は特に、チャットを先輩に送るだけで緊張していました。先輩からは絵文字を使って送ってくるものの、自分のほうは絵文字を使っていいのか、ビジネスっぽくないのではないか、だからといって文章だけだと堅くなりすぎないか……。
雑談やプライベートの写メを混ぜてもいいの? どれくらいの文字量で送るのが正解?
わからないことだらけで、送信ボタンを押す直前に何度も読み直していました。
数年経った今も、相手によって文章のトーンを自然に使い分けることが難しく、これで伝わるのかなと不安になることがあります。チャットやメールは相手の温度感がつかみにくい分、リアルの会話よりも慎重になってしまいます。
気軽に相談したいのに、ちょっとした言葉づかいで印象が変わるのではと考えてしまい、距離が縮まらないままです。少しずつ慣れていくしかないのかなと感じていますが、時間がかかりそうです。
■シゴデキがやっている「掛け算」の返信
3回に1回、文末に感情や気遣いのひと言を入れてみる

メールやチャットの文面が堅くなりがちな人は、まず「完璧に書かなきゃ」という意識を少しゆるめてみると気がラクになると思います。ビジネスの場とはいえ、受け取る側も人間なので、ほんの少し気持ちが伝わる言葉が添えられているだけで印象がやわらぎ、コミュニケーションがぐっとスムーズになります。
たとえば、3回に1回くらい文末に、感情や気遣いのひと言を入れてみるのもいいかもしれません。
「助かります」「ありがたいです」だけでも温度感が変わりますし、親しい相手なら「えっ、それすごくないですか」「感動しちゃいました」など、ちょっとくだけた表現も、むしろ素直な感情や人柄が届きやすいものです。
あるプロジェクト管理の仕事に従事していた方は、「メール一本にしても、事務的な内容だけで終わらせるのではなく、相手への感謝やちょっとした感想を添えることで、チーム全体で相乗効果になる『掛け算』の関係ができた」という経験談を教えてくれました。これは参考になる意見ですね。
ビジネスメールの型を守ることは大切ですが、くだけすぎても堅すぎても距離が生まれてしまうので、ほんの少し人柄がにじむメッセージを意識してみると、コミュニケーションのしやすさは大きく変わるはずです。
■あなたのPC上は見られている
【30代男性の反省】PCのログはチェックされていると思え
以前、IT系の会社で顧客企業のネットワーク保守を担当していたのですが、業務の都合上、社内メールやアクセスログを確認することが多く、「会社のPCって、こんなに行動履歴が残るのか」と驚きました。
どんなサイトにアクセスしたか、どのファイルを開いたかといった操作履歴もすべて残っていて、たとえば就業時間中に旅行先を検索していたり、ちょっとしたネットショッピングをしていたりすることも、ログから丸わかりでした。本人は気づいていないけれど、PC上の行動は思った以上に見られているのですね。
そんなある日、私自身も「バレていないと思っていたことが実はログに残っていた」と痛感させられました。急ぎの仕事が立て込んでいたとき、私は同僚にチャットで「またあの部署か……正直しんどい」とグチを送ってしまったのです。
軽い気持ちで打ったひと言でしたが、後日、上司との1on1ミーティングで「チャットでも大変って書いていたよね」と言われ、真っ青に。認識の甘さを痛感しました。
■グチや感情的なことは私用スマホで
1 「見られている前提」で日頃、行動しているほうが安心

2 社内のメールやチャットに、見られてまずいことは書かない

近年、コンプライアンス関連が厳しくなり、情報漏洩や不正アクセスを防ぐために、社内のメールやチャット、PCの操作履歴などは、企業として管理することが当たり前になってきました。
「監視」というと強い言い方に聞こえますが、会社としては必要な仕組み、といった感じでしょうか。
だからこそ、私たち社員側は「見られている前提」で日頃の行動を整えておいたほうが安心ですね。
気をつけるべきポイントはいくつかあります。まず、業務時間中のサイト閲覧。どんなページを開いたかは履歴に残るため、勤務時間中に仕事とは関係のないサイトを長時間開いていると、「仕事していないのでは?」という印象を与えかねません。休憩時間にスマホで見るなど、切り替えを意識するだけでリスクはぐっと減るはずです。
次に、事例にもあったように、メールやチャットでは、グチや感情的なことを書かないほうがいいでしょう。相手が気心知れた同僚であっても、ログには残りますし、タイミングによっては第三者が目にする可能性もあります。
また、データファイルの扱いにも注意が必要です。社内規定に則った方法で保管・共有することで、情報持ち出しなどの不要な疑いを避けられます。トラブルの予防にも、自分の身を守ることにもつながるのです。

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勝木 健太(かつき・けんた)

経営コンサルタント、実業家、文筆家

1986年生まれ。
京都大学工学部卒業。三菱東京UFJ銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行。PwCコンサルティングおよび監査法人トーマツを経てフリーランスとして独立。2019年にAnd Technologiesを創業し、2021年には同社をみらいワークスへ売却。売却後は、執行役員としてリード獲得DX事業部を統括し、2年間の任期を満了して退任。著書に『同僚とのつきあい方』(監修、東洋経済新報社)、『モヤモヤをなくせばうまくいく』(小学館)、企画・プロデュース実績に『人生が整うマウンティング大全』(技術評論社)など。

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(経営コンサルタント、実業家、文筆家 勝木 健太)
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