愛知県大府市に拠点を構える株式会社Ntoc(エヌトク)は、広大な工場棟の中に約80台もの多種多様な切断機を保有し、日夜稼働させています。

自動車向け重要保安部品を中心として、月間約500万個という驚異的な切断能力を誇る同社は、まさに特殊鋼切断分野における「日本一」のスペシャリスト集団です。


その精緻な加工技術は、日本の世界に誇るものづくり産業の根底を力強く支えています。

元々は特殊素材の販売を主力事業として展開していました。

しかし、「お客様が抱える在庫管理の負担や、加工の手間を少しでも減らしたい」という思いから、事業の在り方を大きく転換しています。

今回は、Ntocの飛躍的な成長を支え続ける圧倒的な技術力と、それを生み出し磨き続けるプロフェッショナルな職人たちの挑戦の軌跡についてお話を伺いました。

また、企業スローガンである「HEART to STEEL(鋼に心)」に込められた熱い思いについてもお伝えします。

約80台の切断機が支える圧倒的な対応力と、不可能を可能にする技術の探求

特殊鋼のNtocが挑む、技術革新の最前線。産学官連携を支える「日本有数の切断設備」と圧倒的な技術力


-- 貴社が誇る「日本有数の切断設備」の全体的な概要と、その導入経緯(特に象徴的なウォータージェットカッター)についてお聞かせください。

私たちの切断事業の原点は、一言で言えば「お客様に育てていただいた」という深い感謝の念そのものです。

製造業が盛んで品質に対してシビアな要求が飛び交う東海地区で揉まれ、鍛えられてきました。

日々刻々と高度化・多様化するお客様の要望に「絶対にNOとは言わない」という姿勢で応えるため、切断機のバリエーションを休むことなく増やし続けました。

その結果、現在では他に類を見ない約80台にも及ぶ大規模で柔軟な切断体制へと成長しています。

その数ある設備の中でも、私たちの挑戦の象徴と言えるのが「ウォータージェットカッター」です。

本来は、非常に高い精度が求められる航空機向け部材の加工シェア獲得を狙って、大規模な投資とともに導入した最新鋭の設備でした。

しかし導入後、想定外にも事業環境が大きく変化し、当初の狙い通りにはいかない時期が続きました。


私たちはそこで決して立ち止まったり、設備を持て余すようなことはしませんでした。

このカッターが持つ「熱の発生による変質(熱影響)が極めて少なく、どんなに硬度や粘りのある複合素材でも切れる」という優れた特性に改めて着目したのです。

そして、既存のノコ盤やレーザー設備では到底対応できないような難削材や新素材をカットするための、私たち独自の「突破口」として活用し始めました。

現在では、この大胆な発想の転換が見事に功を奏し、これまでアプローチできなかった新規のお客様や最先端の研究機関を開拓する大きな強みへと昇華しています。

-- 最新鋭の設備を最大限に活用するための、技術者の皆様のスキル向上や、現場での日々の工夫について教えてください。

私たちが主戦場としている「特殊鋼」という素材は、非常に硬く、そして粘りがあるなど、そもそもが「切りにくい性質」を持った厄介な代物です。

だからこそ、社員一人ひとりが刃物の当て方や切断速度、素材ごとの特性にアジャストする技術を貪欲に勉強しています。

単にマニュアル通りに機械のボタンを押すオペレーターではありません。自ら最新の工作機械の展示会に足を運んだり、メーカーの工場へ直接見学に行くなど、常に自身のスキルと感性を磨く姿勢を何よりも大切にしています。

また、活気ある製造現場では、長年の経験と研ぎ澄まされた勘を持つ熟練の職人たちから、若い世代へのOJTを通じた確実な技術伝承が日常的に行われています。

特に、形がいびつな異形の材料や複合素材など「少しでも切りにくい、他社が嫌がるもの」に対しては、チーム全体で積極的にチャレンジする文化が深く根付いています。

同時に、特定の個人の突出した技術だけに頼り切るのではなく、一人の社員が数多くの種類の機械や全く異なる工程の仕事を幅広く扱えるようにする「多能工化」を推進しています。


これにより、急な欠勤やトラブル時にも柔軟にカバーし合える体制が整いました。

有給休暇の取得など社員のワークライフバランスを大きく向上させながら、より強固で持続可能な組織づくりを実現しています。

「絶対に逃げない」職人魂。産学官連携で挑む未知の領域と成功体験

特殊鋼のNtocが挑む、技術革新の最前線。産学官連携を支える「日本有数の切断設備」と圧倒的な技術力


-- 大学や研究機関との産学官連携プロジェクトの経緯と、極めて高い加工精度が求められた際のエピソードを教えてください。

近年、私たちは大変光栄なことに、大学の先生方や国の最先端研究機関から、非常にスケールが大きく熱いリクエストにお応えする機会を数多くいただいています。

具体的には、「こんな画期的な実験装置を作りたい」「次世代ロケットの重要部材を作りたい」といったご依頼です。

私たち職人は、先生方の頭の中にあるアイデアや、未来に向けて目指すべき方向性をしっかりとヒアリングして汲み取ります。

そして、それを現実の形(具現化)にするために必要不可欠な特殊素材の選定・提供から、超精密な切断加工までをトータルで支える「縁の下の力持ち」としての役割に大きな誇りを持っています。

過去には、誰もが知る大手メーカー様から、公差(許容される誤差)が極めて厳しく、社内でも前例がないレベルの超精密加工の依頼を受けたこともあります。

当初、視察に訪れたメーカーの技術顧問の方からは、私たちの工場の規模を見て「本当にこんなところに頼んで大丈夫なのか?」という、非常に厳しく辛辣な言葉をかけられたこともありました。

しかし、当社の職人たちはその言葉に萎縮するどころか、逆に火がつきました。決して逃げ出したり諦めたりすることなく、全員で必死になって知恵を絞り、独自の刃物のセッティングや切削油の調整など、幾度もの徹夜に及ぶ試行錯誤と泥臭い工夫を重ねました。


結果として、お客様が求めるミクロン単位の要求精度を完全に満たした製品を見事に形にし、無事に納品を果たすことができたのです。

-- そのプロジェクトを通じた外部からの評価と、社内における技術力・ノウハウの蓄積についてお聞かせください。

その厳しい要求をクリアした製品を無事に納品した際、当初は懐疑的だったあの技術顧問の方から直接、「やはり中島(Ntoc)の職人たちに頼んで本当に正解だった。ありがとう」という、これ以上ない最大級の感謝と賛辞の言葉をいただきました。

この劇的な成功体験は、関わった職人はもちろん、社内全体に「自分たちには不可能を可能にする力がある」という強烈な自信と誇りをもたらしました。

そして、その過程で編み出された独自の加工条件や刃物の選定基準は、どこにも負けない唯一無二の技術データ・ノウハウとして社内に強固に蓄積されています。

どんな未知の領域や困難な依頼であっても、チームで挑戦し続ければ必ず期待に応えられるという確かな手応え。これは、ものづくりに携わる技術者にとって、決して金銭では買えない一生の財産となっています。

スローガン「HEART to STEEL(鋼に心)」に込められた、お客様への深い恩義

特殊鋼のNtocが挑む、技術革新の最前線。産学官連携を支える「日本有数の切断設備」と圧倒的な技術力


-- 貴社のスローガンである「HEART to STEEL(鋼に心)」は、最先端の挑戦が続く中で、現場でどのように体現されているのでしょうか。

一般的に、特殊鋼という金属は冷たく、硬く、無機質な単なる「塊」としての印象を持たれがちです。

しかし私たちは、「どれだけ見栄えのしない鉄の棒や板切れであっても、それは最後にお客様の元へと届き、製品の一部となる大切な『商品』なのだから、決して雑に扱ったり粗末にしない」という職人としての強い精神を全社員が貫いています。

その素材への深い愛情とリスペクトの念こそが、「鋼に心」という言葉の真髄です。

このスローガンの背景には、会社にとって忘れることのできない大きな試練があります。


それは2000年に発生した東海豪雨で、私たちの工場が深刻な浸水被害を受け、多数の機械が水没するという甚大な被害を受けた際のことです。

なんと、お客様ご自身も大変な状況の中、泥だらけになりながらも私たちの工場の復旧のために真っ先に駆け付け、手伝ってくださったのです。

お客様からいただいたその計り知れない信頼と恩義の証として、私たちは現在もこの「HEART to STEEL」という言葉を最も大切な理念として継承しています。

今まで自社で切ったことがない未知の難削材や、他社がさじを投げたような難題の依頼であっても、私たちは絶対に最初から断ることはしません。

「どうすればできるか、まずはやってみよう」と果敢に挑戦し、持てる限りの知恵と工夫を重ねて、お客様の期待を超える心のこもった成果(成功体験)をお届けする。

それが創業当時から決して色褪せることのない、NtocのDNAです。

-- 社員の方々が日々の業務の中で抱いている、仕事への誇りややりがいについてどう思われますか?

私たちは、最新の自動車や航空産業など、やがて日本から世界へと飛び立っていく最終製品の、最も重要で基礎となる最初の第一歩を担っています。

大企業が得意とする画一的な大量生産システムでは手の届かない、お客様が現場で「一番困っているニッチな部分」に対して的確に解決していく。

単なる部品屋ではなく、金属加工における「スーパースター」としての自分たちの介在価値に、社員全員が確固たる強い誇りを持っています。

私たちの職場には、お客様や仲間とのコミュニケーションに秀でてチームをまとめる人や、一つの機械の挙動を真剣に何時間も考察することが得意な職人気質の人など、本当に多様な才能や独自の視点を持った社員が集まっています。

切断という技術には「これで完璧だ」というようなゴールは決してありません。

新体制「株式会社Ntoc」が描く未来と、共に挑戦する仲間へのメッセージ

特殊鋼のNtocが挑む、技術革新の最前線。産学官連携を支える「日本有数の切断設備」と圧倒的な技術力


-- 「株式会社Ntoc」としての新たな体制でのスタートに向けて、今後の未来への展望や戦略をお聞かせください。


私たちが扱う材料の幅は、従来の特殊鋼にとどまらず、最先端の非鉄金属、チタン、そして樹脂や複合材などへも大きく広がってきています。

それと同時に、既存のお客様だけでなく、新たな業界での事業展開を目指していく必要があります。

これからの私たちは、業界の隙間で生き残る「ただの残存者利益」を狙うような守りの姿勢ではありません。

切断からさらに踏み込んだ下工程への積極的な進出や、優れた技術を持つ他社とのアライアンス(協業)、そしてどこもやりたがらない難易度の高い加工への果敢な挑戦を大前提として続けていきます。

また、サステナビリティの追求や、経営企画室を牽引役とした最先端のDX(デジタルトランスフォーメーション)化による徹底的な生産性向上にも注力しています。

そして、「Ntocがいなければ、自社のものづくりが成り立たない」とまで言われるような唯一無二の存在を目指して邁進していきます。

-- 最後に、自らの技術で未来の日本のものづくりを切り拓いていきたいと燃えている求職者へ向けての熱いメッセージをお願いします。

私たちの企業は、巨大なシステムを持つ大企業の手がどうしても届かない、かゆいところに手が届くような隙間を埋める、超大量生産ではない極めて重要な部分を担っています。

AIやロボットが進化する現代だからこそ、どうしても最後には「職人の経験や感覚といった人間の力」が必要です。

私たちが提供する価値は決して世の中から不要になることはない、将来性のある仕事です。

Ntocには、あなたが想像する以上に多様な種類の仕事があり、ワクワクするような最先端から年季の入ったものまで数多くの機械がずらりと揃っています。

ここで様々な難題に直面し、それを乗り越える経験を積めば、確実にどこに行っても通用する一生モノのスキルが身につきます。


そして何より、あなた自身の適性に合った「本当に心底から楽しいと思える、働きがいのある仕事」が必ず見つかるはずです。

日本が世界に誇るものづくりの第一歩をあなたの手で力強く支え、立ちはだかる困難をチームの力で「楽しい」に変えていく、そんな底抜けに前向きで熱い仲間が揃っています。

ぜひ私たちと一緒に、Ntocで未来のものづくりを切り拓いていきましょう。あなたからの挑戦を心待ちにしています!
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