プレーの機会を作ることが、大人の義務であることは承知している。
ただ、それが一部の選手たちのモノになりつつあるのも否定はできない。まだ大きく伸びる可能性を秘める小中学生の間に、試合の目的が「勝利のため」だけにあるのは指導者の怠慢である。それは「勝利と育成の両立を具体的に目指してこそ指導義務を果たしている」と言えるからだ。
特に小学校の間に一部の選手しか試合に出場できない、また短い時間しか試合に出られないプレー環境には、大きな問題がある。こういうことが結果的に多くのケガや燃え尽き症候群を生んでいるのは世界的にさまざまなスポーツでうたわれていることだが、筒香選手もこのことに触れていた。
これは日本のあらゆるスポーツにいえるのではないだろうか。もちろん個人スポーツでプレーの安心安全に問題を抱える場合は別だが、そうでなければスポーツの醍醐味を最も味わえるのは本番である試合だ。どれだけ多くの選手がたくさんの公式戦を経験し、スポーツの楽しさに触れながら自分の競技人生を見据えていくか。指導者が、関係者全員がここに力を注げなければ、日本スポーツの未来はない。
横浜で育成を目的にした新しい学童野球が始まる
しかし、そんな野球界にも筒香の声に反応した指導者は少なからずいる。
全国的にも野球が盛んな神奈川の横浜では、来年4月から子どもたちの育成を目的とした新しい学童野球リーグ「Players Centered League」が始まることを耳にした。そこで、リーグの事務局長を務める「みなとみらいクラブ ブルーウインズ」の塚本幸治さんによると、一般的に小学生の年代は5~6年生が中心になるカテゴリーと4年生以下のカテゴリーの2つだが、この新規リーグでは4つに分けているそうだ。