2025年5月19日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは中国が武器輸出大国になる可能性について考察する記事を掲載した。

記事は、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が3月に発表した「国際武器移転トレンド」の内容を紹介。中国がこの5年で米国、フランス、ロシアに次ぐ世界4位の武器輸出国となっているとした。また、主な輸出先はパキスタンで全体の63%を占め、世界5位の武器輸入国であるパキスタンも輸入の81%を中国に依存しており、戦闘機や戦艦、防空システム、レーダー、戦車などを中国から購入していると伝えた。

一方、中国の武器輸出は77%がアジア・大洋州向けとなっており、非アジア圏への輸出拡大は限定的だと指摘したほか、中国が輸出する武器は自国製の最上位のものではなく、高度な武器は自国用にとどめているとも伝えた。

その上で、SIPRIのシニア研究員ベゼマン氏が「中国の武器はより先進的になったかもしれない」としつつ、インドや日本、台湾、韓国、欧州など米国と同盟関係、友好関係にある国・地域への武器輸出はハードルが高く、パキスタンを除く中東の大国や東南アジア、ラテンアメリカも中国からの武器購入に慎重な姿勢を見せており、特に中国と対立している、あるいは米国から圧力をかけられている国への進出は非常に困難との見方を示したことを紹介した。

記事は、エジプトが大量のJ-10C戦闘機の購入を検討しているという報道があり、近い将来に中国がパキスタン以外の特定国で武器輸出の突破口を開く可能性があるものの、エジプトも米国の圧力に直面しており、中国との交渉は米国からの譲歩を引き出すため駆け引きとの見方もあることから、現状では中国の武器輸出大国化には懐疑的な見方が広がっていることを伝えた。(編集・翻訳/川尻)

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