中国深宇宙探査実験室(安徽省合肥市)でこのほど、初の月面レンガ製造装置の開発が成功した。中国メディアが伝えた。
中国は2024年10月に策定された国家宇宙科学長期発展計画で、50年までに「宇宙科学の世界最強国」となり、「宇宙科学」「宇宙技術」「宇宙利用」で世界の最前線に立つ目標を設定した。
米国とロシアと並んで有人の宇宙飛行を成功させたほか、有人宇宙ステーションを単独で持つ唯一の国になった。月の裏側に初めて着陸。月面の砂や岩のサンプル採取にも成功した。高度な技術が必要で、宇宙開発競争の先陣を走る勢いだ。
さらに26年には月の南極からのサンプルリターンを計画している。月の南極には大量の水があると言われており、注目されている。
月面建築の実現は次のステップで中国網によると、実験室では現在、技術者らが装置の最終調整を進めている。未来技術研究院の楊洪倫エンジニアは「月レゴリスレンガの開発は重要な一歩だが、月面での本格的な建築実現には依然として多くの技術的ハードルが存在する」と指摘した。
月面の超高真空・低重力環境下では、月レゴリスレンガだけでは居住構造物を構築できない。
中国網は「この目標達成には次の3段階を踏まえる必要がある」と報道。まずさらなる中核技術の研究開発だ。月レゴリスレンガ製造、建築構造部品構築、建築物構造評価など一連の技術的ブレイクスルーと全プロセス実証の達成だ。
次は宇宙工学ミッションを通じた実証。月レゴリスレンガ製造装置および建設作業の月面実環境下における技術実証が控える。
最後は居住用耐気圧モジュール船室区画の開発ならびに月レゴリスれんが製造装置および月面作業ロボットとの連携作業による完全な月面建築施工システムの形成。これをもって最終的に住宅建設を完成させる。
中国網は「技術開発が進むにつれ、月の資源で月に建物を建てる」という人類の夢がSFから現実へと移行しつつある」と言及。「このレンガ製造装置こそが月面建築への道を開く最初の礎となるだろう」と指摘した。(編集/日向)