キアヌ・リーブスが主演を務める大ヒット・シリーズの第3弾、『ジョン・ウィック:パラベラム』が日本公開を迎えた。新たにハル・ベリー演じるソフィアが参戦し、殺し屋のみならず動物たちも大暴れする本作のアクション・シーンは、まさに驚きと興奮の連続だ。
今回は、映画のプロモーションのため3作連続で来日を果たしたキアヌと、チャド・スタエルスキ監督にインタビューを敢行。アクションに対するアプローチをはじめ、『ジョン・ウィック』シリーズに欠かせない「犬」や音楽についても語ってもらった。

[あらすじ]
裏社会の聖域:コンチネンタルホテルでの不殺の掟を破った伝説の殺し屋、ジョン・ウィック。全てを奪ったマフィアへの壮絶な復讐の先に待っていたのは、裏社会の秩序を絶対とする組織の粛清だった。1,400万ドルの賞金首となった男に襲いくる、膨大な数の刺客たち。満身創痍となったジョンは、生き残りをかけて、かつて”血の誓印”を交わした女、ソフィアに協力を求めモロッコへ飛ぶ。
しかし最強の暗殺集団を従えた組織は、追及の手をコンチネンタルホテルまで伸ばして、ジョンを追い詰める。果たしてジョンは窮地を脱出し、再び自由を手にすることができるのか――。

─『ジョン・ウィック:パラベラム』では、キアヌさんのアクションがさらに進化を遂げていて驚きました。今作では、どんなトレーニングに挑戦されましたか?

キアヌ:今回新しくトライしたのは、乗馬のシーンだね。もちろん普通に馬に乗るだけじゃなくて、サドル(鞍)からカラダが半分ずり落ちながらアクションするのはなかなか難しかったよ(笑)。でも、慣れ親しんだ現場だから、そういったトレーニングもすごく楽しみながらやれたね。


キアヌと監督が語る『ジョン・ウィック』シリーズの斬新さ「犬はジョンの人生を繋ぐシンボル」

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─どんなときにアクションのアイディアを思い浮かぶのでしょうか? 前作のインタビューでは「ジョン・ウィックを馬に乗せたい」と監督に提案していましたが、まさに有言実行となりました。

キアヌ:特にこれといった瞬間はないんだけど、撮影時はその作品やキャラクターのことを白日夢みたいにずーっと考えてるんだよね。『チャプター2』では1作目にインスピレーションを受けていたし、今作では『チャプター2』に……といった感じでさ。だから今は、『ジョン・ウィック:パラベラム』にインスピレーションを受けながら、次回作のアクションを考えているところだよ(笑)。

─チャド監督は、本作のアクション・シーンを振り返ってみていかがですか?

チャド:『ジョン・ウィック』のアクションはキアヌが頼りなんだ。長回しのカットや俯瞰のショットも多いから大変なんだけど、それを突き詰めることで観客をこの世界に惹き込んでいきたい。
トレーニング期間としては5~6ヶ月くらいかな?

キアヌ:いや、3ヶ月くらいだと思う(笑)。

チャド:そうだっけ(笑)。でも、マーシャルアーツだけじゃなく様々な武術を習得しなきゃいけないわけだし、この映画はガン・シューティングも必須だからね。殺陣のシークエンスはいわゆる「振り付け」があって、ダンスみたいにいろんな動きやフォームを身体に憶えさせなければいけない。「いい映画」っていうのは、そういった工夫や熱意がスクリーンの向こう側にいる観客にも伝わるんだ。だから何度もリハーサルを重ねて、プランニングして、スタントマンとどうやって動くべきかを考える。
で、それらをカメラが余すことなく追えなければ意味がない。

─なるほど。

チャド:アクションの編集やビジュアルがいい映画ってたくさんあるけど、みんなが好むアクション映画って、ジェット・リー作品にしても、ジャッキー・チェン作品にしても、ファイト・シーンの魅力だけじゃなく必ず愛すべき「キャラクター」がいるよね? 『ジョン・ウィック』では、アクションとキャラクター。そのどちらも愛してもらえるシリーズを目指しているし、実際、キアヌのおかげでそうなりつつあると思っているよ。

キアヌと監督が語る『ジョン・ウィック』シリーズの斬新さ「犬はジョンの人生を繋ぐシンボル」

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─『ジョン・ウィック』シリーズといえば音楽や効果音も魅力のひとつですが、今作ではきゃりーぱみゅぱみゅさんの「にんじゃりばんばん」が流れるのも印象的ですよね。

チャド:あのシーンは、ゼロ(マーク・ダカスコス)というキャラクターをうまく紹介してくれたよね。
音楽もある意味で「対比」になっていて、ジョンは普段クラシックを好んで聴いているから、アクション・シーンではクラシックやテクノなどのエレクトロニック・ミュージックを流している。ゼロは彼とは違ったキャラクターとして描きたかったんだけど、登場シーンを『NYのスシ・レストランにしよう』と提案してくれたのは、他でもないキアヌだよ。シリアスな人物でもあるゼロが、J-POPを聴いていたら面白いなって思った(笑)。それで色々なJ-POPに触れてみた中で、いちばんハッピーで楽しそうだったから、きゃりーぱみゅぱみゅの楽曲を選ばせてもらったんだ。実際、ゼロが率いるニンジャ軍団ともぴったりハマっていたしね!

─ハル・ベリーが演じるソフィアのドッグ・アクションも見どころです。『ジョン・ウィック』シリーズにとって犬は重要なキャラとなっていますが、おふたりは犬の描き方についてどんなこだわりをお持ちですか?

キアヌ:君の言う通り、犬はこの映画において中心的な存在だ。
チャドはこれまでに「ガン・フー」(銃のアクション)とか、「カー・フー」(カーアクション)を生み出してきたから、それに続く犬のアクションとして「ドッグ・フー」って呼んでいるくらいだしね(笑)。ハリー(ハル・ベリー)は何ヵ月も犬とのトレーニングに臨んだんだ。撮影中は彼女に「犬たちと絶対に目を合わせちゃダメよ」って注意されたよ(笑)。なぜなら、彼らは主人に対してとても忠実で、彼女を守ろうとする習性があるから、他の人間が迂闊に近づくのはよくない。犬たちの能力には僕自身も感銘を受けたし、彼らとそこまでの関係性を築き上げたハリーの仕事っぷりにもリスペクトしかないね。

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チャド:第1作目では、子犬のデイジーがある種の「シンボル」としての役割を担っていたんだよね。

キアヌ:(食い気味に)イノセンス!

チャド:そう(笑)。「純真無垢」や「無邪気さ」を表すシンボルで、デイジーを通してジョン・ウィックは亡き妻のヘレン(ブリジット・モイナハン)への愛を再確認していたとも言える。そして、ジョンが殺し屋として暗躍していた過去の人生と、ヘレンと出会ってからの人生を繋ぐ存在でもあった。この映画を観てくれた観客がみんな犬に強く惹き付けられているから、『ジョン・ウィック』はある意味で「犬の映画」と呼べるかもしれない。もちろん、『名犬ラッシー』とはまた違った切り口だとは思うけどね。

─ああ、分かる気がします。

チャド:1作目のラストで、ピットブルを救うシーンがあっただろ? 彼もまた、ジョンの新しい人生のシンボルになっているんだ。僕もデヴィッド・リーチ(製作総指揮)も犬や動物が大好きだから、『ジョン・ウィック』には他の映画にはない温かみが感じられるのかもしれないね。いっぽう『ジョン・ウィック:チャプター2』では、ジョンはピットブルを通してヘレンとの思い出がフラッシュバックする。それは単に過去のことではなくって、彼の「現在」にも通じているんだよ。で、今回は犬たちにもアクションに挑戦してもらおうというアイディアが浮かんで、5匹の若いベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアと半年以上におよぶトレーニングを行ったんだ。それが映画とハマるかどうかは僕らも未知数だったけど、結果的には僕にとってもお気に入りのアクション・シーンが完成した。犬に関しては、もうこのシリーズのDNAとして組み込まれていると言っても過言ではないかな。

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─最後に、キアヌさんの初来日から28年、ブレイクを果たした『スピード』からも25年が経過しました。あの頃の自分を振り返ってみて、どんな俳優だったと思いますか? また、当時と比べてアクション映画に対するアプローチはどう変わりましたか。

キアヌ:そうだね、25年前と今の大きな違いは「経験値」だと思う。たとえばアクションは当然とのこと、そのアクションにまつわる他の要素を気にかけられるようになった。(キアヌにとって初のアクション映画だった)『ハートブルー』(原題:Point Break)の頃はまだまだ若くて、映画の世界についても知らないことだらけだったからね。今はずっと知識や経験がある分、監督やスタッフとも密にコラボレーションができているし、僕もちょっとは映画に貢献できるようになったんじゃないかと思うな(笑)。

キアヌと監督が語る『ジョン・ウィック』シリーズの斬新さ「犬はジョンの人生を繋ぐシンボル」

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<映画情報>

『ジョン・ウィック:パラベラム』
2019年10月4日(金)全国ロードショー
監督:チャド・スタエルスキ
出演:キアヌ・リーブス/ハル・ベリー/イアン・マクシェーン/ローレンス・フィッシュバーン/マーク・ダカスコス/アンジェリカ・ヒューストン
配給:ポニーキャニオン
原題:JOHN WICK:CHAPTER3 PARABELLUM(2019/アメリカ)
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レーティング:R15
公式サイト:http://johnwick.jp/