今年、創立50周年の節目を迎えた全国シャンメリー協同組合は5月24日、記念式典を開催し中小企業の組合員がこの独自価値を改めて確認し合った。
瓶容器などの原材料高騰や円安が経営に打撃を与えている中で、“ココロうるおす”や“人と人をつなぐ絆”といった特別な価値に活路を見出して磨きをかけていく方向性も示された。
農林水産省大臣官房新事業・食品産業部食品製造課長の峯村英児氏から感謝状を受け取る翠田章男理事長(中央)、小原光一副理事長(右)、木村英文代表(左) 式典で取材に応じた翠田章男理事長は「毎年、人口減少と少子化が進みシャンメリーも大変厳しい状況だが、2019年に底を打ち20年、21年と少しプラスに転じた。コロナでいろいろな交流が難しい世の中にあって、シャンメリーには単にのどを潤すのではなく、ココロをうるおす特別な価値があるのだと考えている」と語る。
小原光一副理事長も「シャンメリーは子どもたちの成長を祝う乾杯飲料であり、人と人とのつながりを復活させる魔法の飲料」と強調する。
こうした特別な価値は、親が子どものために、あるいは、祖父母が孫のためにシャンメリーを購入することで生じるという。
この見方から、保護者のいない児童らにシャンメリーをプレゼントする児童養護施設贈答事業については「シャンメリーの使命として続けていきたい」と腹をくくる。
児童養護施設贈答事業では、05年の開始以降のべ16年間、7632園に15万本以上のシャンメリーを贈呈してきた。
あらゆるコストが上昇する中、贈呈継続と事業継続には、価値に見合った価格が喫緊の課題となる。
厳しい経営環境について、翠田理事長は「コロナ禍でとても大きなダメージを受けた上に、ロシア軍のウクライナ侵攻でグローバルサプライチェーンが完全に麻痺し、原料、資材、エネルギーが高騰し、それに円安がコストアップに拍車をかけ大変不透明な状況になっている」と説明する。
「全体の量が増加しない中で、量をある程度確保できないと継続できない。
単価アップについては、個社が取り組むべきこととした上で、一例に旬のアニメキャラクターをデザインするなど「子どもがドキドキ・ワクワクするような演出」を挙げる。
シャンメリーの特徴である“ポン”という開栓音のするキャップの活用も提案。
「“ポン”という音は“これから楽しいことが始まるよ”の合図。開栓音を最大限に活かしつつ、いくつかの付加価値が切り口になる」との考えを示す。
64年(昭和39年)には、東京都衛生局から当時開催の東京オリンピックを契機にソフトシャンパンの密栓密封について改善指導される。
72年(昭和47年)に密栓密封問題が解決したことを受けて全国ソフトシャンパン協同組合(現・全国シャンメリー協同組合)の創立総会が開催され、初代理事長に関茂樹氏が就任する。
これに先立ち66年(昭和41年)には、駐日フランス大使館からシャンパンの名称の使用禁止を求められ、73年(昭和48年)にフランス側と折衝の結果、シャンパンの名称は使用しないことで協定書に調印しフランス側と和解した。
74年(昭和49年)には協同組合の名称を現在の名称に変更し、77年(昭和52年)に全国清涼飲料工業組合連合会が、中小企業分野調整法の主旨に則りラムネやシャンペン風密栓炭酸飲料(シャンメリー)など5品目を「中小企業の生産分野製品」として業界に宣言する。
創立50周年の節目を迎え、次は創立100周年に向けた事業継続を目指していく。
閉会の辞で、友田諭常務理事は「普通にのどが渇いたときに飲む商品で勝負をしたら勝ち目がない。ラムネもシャンメリーも思い出の片隅に残るような商品を今後も続けていく。
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