コンビニで長く働いてきた筆者。いったん現場を離れていた時期もあるが、現在はライター業の傍ら、知り合いの店長から「人手不足」を理由に頼まれ、空いた時間だけ手伝う生活をしている。

コンビニの仕事というと、レジ打ちや品出しだけを想像する人もいるかもしれない。だが実際には、宅配便、公共料金の支払い、チケット発券、フリマアプリの発送、コーヒーマシンのトラブル対応まで、やることは多岐にわたる。

そんななかで地味に現場を疲弊させるのが、悪意はなさそうだが、対応に時間を取られる客である。

しつこい質問で作業が止まる

「次の入荷はいつ?」レジでモタモタ、後ろには行列…現役コンビ...の画像はこちら >>
たまに、やたらと質問を重ねてくる客がいる。

最初は意味のよくわからないことを尋ねてきて、こちらが答えると、今度は買うかどうかわからない商品を持ってきて、「これはいつ追加で入荷しますか?」と聞いてくる。

「申し訳ありませんが、今はわからないです」と返すと、「どうやったらわかるの?」とさらに聞かれる。

「店長がいる時間帯でないと確認できません。明日以降に来ていただければ……」と説明しても、なかなか引き下がってくれない。こちらとしてはレジ対応や品出し、清掃など、ほかにも作業が山ほどある。正直なところ、長時間つかまってしまうとかなり困る。

先日も、夕方16時ごろに中年女性が店に入ってきた。女性はそのままレジ前に立ったきり、何も出さない。

「いかがなさいましたか?」

そう声をかけると、女性はひと言。


「収納代行」

だが、払込票を出すわけでも、財布を出すわけでもない。こちらが戸惑っていると、ようやくゆっくりと払込票を2枚出してきた。財布から現金を出すまでに時間がかかり、レジには少しずつ列ができていく。応援を呼ばなければならない状況だった。

支払いが終わったあとも、女性はなぜかいくつか質問をしてきた。こちらは最低限の返答をしながら、早くほかの作業に戻りたいと思っていた。

「このジップロックは、次いつ入荷するんですか?」なんで?

ところが女性はその後も店内を30分ほど歩き回り、ようやく商品をひとつ持って再びレジに来た。購入したのは、あまりコンビニでは売れないジップロックだった。たいていの人はスーパーで買うだろう。

会計が終わると、女性はこう尋ねてきた。

「このジップロックは、次いつ入荷するんですか?」

限定品でもなければ、コンビニでしか買えない商品でもない。必要ならスーパーやドラッグストアでも手に入るだろう。正直、そこまでこだわる理由がわからなかった。


「発注担当も店長も今はいないので、現時点ではわかりません」

普通ならこれで終わる。しかし女性はそこから、「店長はいつ来るの?」「いつならわかるの?」「次の入荷はいつ?」と質問を重ね、なかなか店を出ていかない。

このときはスタッフの人数が多く、ベテランの店員が対応を引き継いでくれたため、なんとか収まった。

しかし驚いたのは、その日の21時ごろ、同じ女性が再び来店したことだ。また収納代行の支払いを済ませたあと、今度もジップロックの入荷時期を確認してきた。

筆者にとっては初めて見る客だったが、「また来るかもしれない」と思うと、少し頭が痛くなった。

外国人客とのやりとりで起きた“傘トラブル”

「次の入荷はいつ?」レジでモタモタ、後ろには行列…現役コンビニ店員が明かす“地味にキツい客”の共通点
※写真はイメージです(画像生成にAIを利用しています)
ここ数年のインバウンド好調の影響もあり、店にも日本語が話せない外国人客が多く来店するようになった。

先日、派遣スタッフのAさんと一緒に勤務していたときのことだ。突然、激しい雨が降り出した。

こういう日は、コンビニではビニール傘がよく売れる。店としても、傘が売れるのはありがたい。すると、30歳前後の白人女性が来店し、英語で「折りたたみ傘はありますか?」と尋ねてきた。

筆者は別の客の対応をしていたため、Aさんが売り場を確認した。
しかし見当たらなかったようで、

「今はビニール傘しかありません」

と伝えた。女性は少し不満そうな表情を見せながらも、800円ほどのビニール傘を購入して店を出ていった。

ところが、その直後に筆者が念のためバックヤードを確認すると、奥のほうから折りたたみ傘が2本見つかった。

「さっきの客に申し訳ないことをしたな」と思ったが、こういうことは現場では起こり得る。棚に出ていなければ、スタッフが在庫なしと判断してしまうこともある。

そのまま仕事を続けていると、なぜか先ほどの女性が再び店に入ってきた。そして売り場に並んだ折りたたみ傘に気づくなり、表情が一変した。

「さっきはないと言ったのに、なぜ今はあるの? 嘘をついたの?」

女性はかなり怒っていた。

こちらとしても、在庫確認が不十分だったのは事実だ。筆者は素直に謝ったうえで事情を説明した。これで済むかと思ったが、女性の怒りは収まらない。

「さっき買ったビニール傘を、折りたたみ傘と交換したい」

使用済みの傘の返品や交換は、通常であれば簡単には受けられない。
ただ、今回は店側の案内にも落ち度がある。後で店長に報告すればいいと考え、筆者はこう返した。

「わかりました。ただ、折りたたみ傘のほうが金額が高いので、差額をいただく形になります」

すると女性は少し表情を明るくして、

「本当? よかった。ところで、折りたたみ傘はいくらなの?」

と聞いてきた。

「なんでそんな値段なの!」と言われても…

「3100円です」

そう答えた瞬間、女性はまた怒り出した。

「そんなに高いの? なんでそんな値段なの!」

今度は値段への不満である。筆者が値段を決めているわけではない。いい加減にしてほしい、というのが本音だった。

「差額は……」

と計算しようとしたところ、女性は急に態度を変えた。

「わかった。折りたたみ傘はいらない。ビニール傘でいい。
さようなら」

さっきまでの怒りはどこへ行ったのか。そう言うと、女性は店を出ていった。

外では、相変わらず激しい雨が降り続いていた。

店員も万能ではない

客からすれば「店に聞けばわかる」と思うのかもしれない。だが、店員がすべての商品在庫や入荷予定を即座に把握しているわけではない。

時間帯によっては発注担当も店長もおらず、アルバイトやヘルプのスタッフだけで回していることもある。レジには客が並び、店内では品出しや清掃、宅配便の受付なども同時に進んでいる。ひとつひとつは小さな質問でも、対応が長引けば現場は簡単に止まってしまう。

コンビニは便利な場所だ。しかし、その便利さは、限られた人数で働く店員たちの対応によって支えられている。客側にも少しだけ、そのことを想像してもらえるとありがたい。

<文/浜カツトシ>
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