◆JERA セ・リーグ 巨人6x―5阪神(21日・東京ドーム)

 巨人・阿部慎之助監督(46)は吉川のサヨナラ打の瞬間、ベンチで笑顔でガッツポーズした。3月28日のヤクルトとの開幕戦(東京D)以来の5点差逆転勝ちで連敗を4で止め「意地を見せてくれた。

野球は何が起きるか分からない、って思って見ていた」と選手の粘りをたたえた。

 負ければ球団ワーストタイの「シーズン3度目の阪神戦同一カード3連戦3連敗」で阪神と12ゲーム差に広がる危機。劣勢に「辛抱するしかない」と諦めず耐えた。7回、大山の三遊間へのゴロをスライディングしながらの逆シングルでさばいた泉口の好守などが流れを引き寄せ、8試合ぶりの4得点以上。9回2死一、二塁では佐々木が11球粘って四球で満塁とし、続く吉川の決勝打につなげた。

 借金2、首位と10ゲーム差の3位で折り返し。目標の勝率5割に届かず「現実的には厳しい。これでよく頑張りました、って言ってたらどうしようもないので」と課題は山積だ。チーム打率は2割4分と安打は出るが、好機で一本が出ず、得点244はトップの306の阪神に大きく水をあけられた。岡本の故障離脱、ヘルナンデスの不振など誤算の連続の中、増田陸や泉口らの奮闘は収穫だが「バッター陣がもうちょっと奮起しないと阪神に食らいついていくのは厳しい」。得点力不足解消が最大のテーマになる。

 投手では開幕投手の戸郷が不調で2勝。

昨年15勝でメジャー移籍した菅野の穴埋めが課題の中、エースの2軍降格は想定外だったが、それでも先発陣は西舘が台頭。山崎が抜群の安定感を見せ、赤星もローテを守るなど好材料も多かった。

 すでにシーズン負け越しが決まっている対阪神戦は5勝13敗となった。劇的勝利に「明日(試合が)あった方が良かった」と本音ものぞかせたが、この勢いを後半戦につなげたい。残り54試合。リーグ連覇へ必ず逆襲する。(片岡 優帆)

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