◆第107回全国高校野球選手権秋田大会 ▽決勝 金足農2×-1鹿角=延長10回タイブレーク=(22日・こまち)
秋田で決勝が行われ、18年夏の甲子園で準優勝し、“金農旋風”を巻き起こした金足農が鹿角(かづの)に延長10回タイブレーク、サヨナラスクイズで勝利。2年連続8度目の夏切符をもぎ取った。
2年連続の夏切符獲得を告げるセーフのジェスチャーと同時に吉田は、チームメートとベンチを飛び出した。延長10回1死二、三塁。2番・高橋海生一塁手(2年)がお家芸のスクイズを決めてサヨナラ勝ち。夏連覇は同校初の快挙となった。「あの舞台に戻れるうれしさがある」。10回を7安打1失点7奪三振で投げ切ったエースは胸を張った。
こぼれ落ちそうになった白星をガッチリつかみ直した。1点リードの9回、勝利まであと1球としながら振り逃げで出塁を許すと、2死三塁から遊撃内野安打で同点とされた。「自分がちゃんと抑えていれば…」と反省しきりだったが、無死一、二塁の延長タイブレーク10回はギアを上げ中飛、見逃し三振、一直と鹿角打線を完璧に封じサヨナラ勝ちにつなげた。準決勝・明桜戦に続き2試合連続完投。酷暑の中、9回にも球速は140キロ超を次々にマークした。
昨夏、2年生エースとして兄・輝星に続き甲子園のマウンドに立ったが、1回戦で西日本短大付(福岡)に4―6で敗退。吉田も7回5失点と振るわず「自分はまだ甲子園にふさわしくない投手」と全国の壁に屈した。準優勝の兄を超える日本一を目指して臨んだ最後の夏に、再び壁を越えるチャンスをつかんだ。
故障でプレーできない仲間の思いも力に変えた。相棒の渡部蒼空(すかい)捕手(3年)が準々決勝直前に左手を骨折。急きょ2年生捕手の芹田礼とバッテリーを組んだ。渡部は負傷箇所に包帯をしながら、試合中に吉田や芹田に配球面などを助言。吉田は「勝つためにベンチワークしてくれた。自分と芹田だけじゃなく渡部も含めての勝利」と感謝し「またバッテリーを組みたい」と甲子園でのバッテリー再結成を望んだ。
18年の兄を超えるチャンスを再びつかんだ。まずは昨夏果たせなかった初戦突破だ。
▼甲子園兄弟勝利 金足農のエース・吉田大輝が2年連続出場。昨年の選手権は初戦敗退。今年は、18年夏に同校のエースで5勝、準優勝の兄・輝星(現オリックス)に次ぐ甲子園勝利が目標だ。
甲子園で勝った主な兄弟投手には、岐阜の田中照雄(49年夏2勝)と岐阜商の和男(56年春夏計2勝)。法政二の山本正幸(84年春1勝)と東海大甲府の信幸(87年春3勝)。ともに山梨・市川の樋渡卓哉(91年春夏計5勝)と勇哉(94年夏1勝)らがいる。