◆JERA セ・リーグ 広島1―5巨人(26日・マツダスタジアム)

 巨人は同点の7回、リチャード内野手(26)が、右翼フェンス直撃の勝ち越し二塁打を放ち移籍後初V打をマークした。さらに代打・坂本勇人内野手(36)の適時二塁打など、この回5安打3得点を奪い、後半戦開幕戦で広島に快勝。

マツダスタジアム今季7戦目、セ・リーグ優勝を決めた昨年9月28日以来の勝利を挙げた。先発・横川が4回1失点も、救援5投手が1イニングずつ無失点でつないだ。投打がかみ合い、借金を1とし2位に浮上した。

 興奮が抑えられない。二塁ベース上のリチャードは歓喜の三塁ベンチに向かって誇らしげに右手を突き上げた。同点の7回1死一塁で右翼フェンス直撃の決勝適時二塁打。巨人移籍後初、自身約4年ぶりとなる勝利打点だ。「正直、実感はない。必死にやっているだけでした」。今季のマツダでのチーム初勝利へと導いた。

 持ち味のパワーがさく裂した殊勲打だった。カウント1―2から中崎の真ん中145キロ直球に反応。

逆方向の右翼ポール際に伸びた強烈な打球はフェンスに到達し、勝ち越し点をもたらした。リチャードの一打から勢いに乗り、この回3得点。同点3ランを放った21日の阪神戦(東京D)に続く2試合連続となる先発起用に応えた。阿部監督は「すごく内容も良かったし、打ってくれて自信になったんじゃないかな」と目尻を下げた。

 待ちに待った季節だった。「早く夏来い、って思っていました」。例年、夏前の梅雨時の6月頃に不振に陥る。「毎年、本当に打てなくて、泣いても打てない、バットと一緒に寝ても打てない、というのが続く。でもそこから夏にかけてポンポンと上がってくるんです」。今季も6月に2軍へ降格し、ファームで11打数連続三振を喫するなど苦悩。それでもバットを振る手は止めなかった。練習からこれまでよりも低い打球や実戦を意識した打撃を繰り返し、浮上の糸口をつかんだ。

「夏は暑くて寝られないので嫌なんですけど、野球の面では好きです」。7月8日に1軍再昇格後は12打数3安打で、3本の安打はいずれも長打。“夏男”らしく暴れ始めている。

 リフレッシュ効果もあった。前半戦が終了し、球宴休みで全体練習がなかった22日は福岡に足を運んだ。元チームメートで仲がいいソフトバンクの渡辺陸と再会。「一緒にグランピングとかをして過ごしながら、ゆっくりできた」とつかの間の休みで英気を養った。帰京してからは全体練習後に居残りでマシン打撃をみっちり行って準備。オンオフをしっかり切り替えて、後半戦の最高のスタートを切った。

 大苦戦していたマツダで7戦目にして初勝利。チームは借金を1に減らし、2位に浮上した。移籍後1号も同球場だったロマン砲はまさに鬼門知らずで、頼もしい。

「優勝を諦めてない。頑張って追いついて、追い越せるようにしたい」と誓った。リチャードが真夏の反攻劇を盛り上げていく。(宮内 孝太)

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