◆第107回全国高校野球選手権神奈川大会 ▽準決勝 向上6―7×東海大相模(26日・横浜)

 神奈川では東海大相模が決勝に進出した。

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 迷いはなかった。

三塁走者の柴田元気二塁手(3年)は50メートル6秒2の快足を飛ばし、頭から本塁へ突っ込んだ。次の瞬間、球審の手が広がる。サヨナラだ。決勝進出だ。6―6で迎えた9回1死満塁。佐藤惇人捕手(3年)の打ち上げた右飛は浅かった。だが、主将の柴田が勝負に出た。生還すると、笑顔の仲間たちが出迎えてくれた。

 「外野に飛んだ時点で(本塁突入は)決めていました。止まることは考えていなかった」。真っ黒に汚れたユニホームのキャプテンマークははがれていた。全力プレーした証明だった。

 2回表を終え、4点のビハインド。だが元巨人捕手の原俊介監督(47)は悲観しなかった。「徐々に点数を積み重ねれば、最後にチャンスは来る。『ボディーブロー作戦』だ」。夏の神奈川の準決勝以上で、同校が4点差以上を逆転したのは、原辰徳が2年生だった75年の日大高戦以来、50年ぶりとなった。

 決勝は横浜と激突する。両校が夏の神奈川決勝で相まみえるのは10度目で、昨夏から4季連続の頂上対決となった。秋春と敗れており、原監督は「三度目の正直。僕らは負けて強くなってきた。一球入魂で行きます」と力を込めた。(加藤 弘士)

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