◆第107回全国高校野球選手権滋賀大会▽決勝 綾羽―滋賀学園(26日・マイネットスタジアム皇子山)
滋賀に新風が吹いた。綾羽が春夏を通じて初の甲子園へ。
涙で抱き合うナインを見つめた千代(ちしろ)純平監督(36)も目を赤くした。「今の選手が頑張りましたが、それだけで扉は開かない。卒業生たちの思い、挑戦が実を結んだ」。4度目の決勝進出で、昨年と同じ顔合わせ。初回に2点を先取される同じ展開から「これをひっくり返すためにやってきた」と声をかけあい、直後に逆転した。
昨夏から4季連続の県4強以上。近年は常に上位を争う力をつけた。指揮官は野球部強化が始まった04年の“一期生”。近江を81年夏に初の甲子園に導いた故・田中鉄也監督の下で育った。15年に病気で亡くなった恩師の思いを継ぎ、17年に就任。「恩師・田中の情熱が…」と再び目を潤ませた。
田中氏は千葉・我孫子で指導した阪神・和田豊コーディネーターと深い師弟関係。
闘病中、和田氏から「甲子園に戻って使ってください」とノックバットが届いた。恩師が常に枕元に置いた宝物。授かった千代監督が保管してきたが「かなえられて良かった」と聖地で手にする。強豪・近江、県内24連勝中だった滋賀学園を連破。「滋賀に新しい風を吹かせたい選手たち」と新たな歴史をつくる。(安藤 理)