◆第107回全国高校野球選手権京都大会▽決勝 京都国際4X―3鳥羽(27日・わかさスタジアム京都)

 京都決勝は、昨夏甲子園で初優勝した京都国際が8回に2点差を追いつき、9回サヨナラ勝ちで4―3と鳥羽を破り、2年連続4度目の夏切符を獲得した。エース左腕・西村一毅(いっき)投手(3年)は公式戦初被弾も5安打3失点12奪三振で完投。

2004、05年の駒大苫小牧(南北海道)以来の夏連覇を狙う。

 校歌が歌えないほど涙があふれ、止まらなかった。同点の9回無死一、三塁。京都国際・西村は、祈るように女房役・猪股琉冴捕手(3年)の打席を見守った。右越えサヨナラ打を見届けるとベンチを飛び出し、号泣。「ふがいない投球で、負けたら自分のせいと思っていた。頼もしいキャッチャー。ありがとう」と大粒の涙を拭った。

 昨夏の甲子園胴上げ投手が苦しみながらも、踏ん張った。初回、四球で走者を背負うと2死二塁から鳥羽の4番・横谷に先制2ランを献上。公式戦初被弾だった。だが「目が覚めた」と制球力と冷静さを取り戻し、5者連続を含む計12奪三振で9回5安打3失点。

今大会は4試合連続で先発し、計34回で496球を投げ込んだ。エースを最後まで信じ、マウンドを任せた小牧憲継監督(42)は「彼が覚醒する姿を見たかった。よく乗り切ってくれた」と賛辞を送った。

 熱投に応えるように、打線は2点を追う8回2死二、三塁で反撃。昨夏Vメンバーの1番・長谷川颯中堅手(3年)の中前2点打で同点に追い付き、9回に猪股が試合を決めた。人目を気にせず涙を流す西村を見て、「バッテリーを組んできて、あんな泣くことはなかった」と背番号2。笑いながら自身も、その目を潤ませた。

 第1回全国中等学校優勝野球大会Vの京都二中の流れをくむ鳥羽との“新旧王者対決”を制し、夏連覇への望みをつないだ京都国際。西村は「全員で甲子園に優勝旗を返せる。挑戦者の気持ちで2連覇したい」と早速、闘志を燃やした。もう一度、甲子園で最高の景色を見る。(森脇 瑠香)

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