◆第107回全国高校野球選手権岡山大会▽決勝 岡山学芸館5―4おかやま山陽(27日・倉敷マスカットスタジアム)

 岡山学芸館の2番手右腕・吉井翔悟(3年)が意地を見せた。1点リードの9回2死一塁。

「腕を振るだけ」と相手打者を二ゴロに仕留め、2年連続の甲子園行きを決めた。おかやま山陽に5―4。強気の投球を貫いた胴上げ投手は「逃げ腰にならず、弱点を克服できた」と歓喜の輪で涙した。

 日頃の行いが大舞台で形となった。「小さいことから、気持ちをそらさない」。3月の沖縄合宿中だった。チームメートと5人で歩いていると、国際通りで高齢女性が倒れていた。「近くのコンビニにAED(自動体外式除細動器)を取りに行った。びっくりした」と驚きながらも、自身初の人工蘇生で命を救った。阿慶田庵俐、前田蓮斗、又吉涼太郎、樽家巧真(すべて3年)とともに那覇市消防局から表彰を受けた。普段から「玄関は顔。トイレは心」と掃除にも手を抜かない。

 昨夏の甲子園は打撃投手として支えたが「ピンチで抑えられるように準備したい」と今夏は、エース・青中陽希(3年)とともに聖地での活躍を誓う。徳にも野球にも、さらに磨きをかける。(松ケ下 純平)

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