第107回全国高校野球選手権静岡大会の決勝戦、聖隷クリストファー対静岡が28日、草薙球場で午前10時から行われる。春夏通じて初の甲子園出場を目指す聖隷クリストファーは27日、同校グラウンドで約3時間半調整。

投手陣が注目されるが、準決勝の藤枝明誠戦で3安打を放った谷口理一三塁手(3年)は、左腕・吉田遥孔(はるく、3年)を打ち崩しての勝利を誓った。

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 悲願の初甲子園まで、あと1勝。聖隷ナインは決勝のウォーミングアップ時間に合わせ、午前8時半から練習を開始。ノックなどを行い、正午まで汗を流した。

 藤枝明誠戦(4〇0)では、左腕・高部陸(2年)が6者連続三振で4回を完璧に抑え注目を集めた。しかし、今夏は野手陣の存在感も際立つ。初戦の湖西戦から3試合連続コールド勝ちを収めるなど、春の県5試合でチーム打率2割7分8厘で23得点だったチームが、夏は5試合のチーム打率3割5分4厘で31得点を挙げている。

 中でも藤枝明誠戦で2回に先制点につながる右越え三塁打を放つなど、3安打した5番・谷口が好調だ。昨夏は投手としてベンチ入りし救援を経験。昨秋から野手に転向し、三塁手としてレギュラーに定着した。だが、春は左手首の脱臼で県大会に出場できず悔しい思いをしており、「何が何でも甲子園に行く」と強い覚悟で今大会に臨んでいる。

 この日のシート打撃では、準決勝で好投した右腕・上田一心(3年)から左前打、別の左腕投手からも右中間へ三塁打を放った。

静岡のエース吉田攻略をイメージしながら打席に立ち、「フライ気味でしたが、逆方向に打てていいイメージができた」と万全の状態で決勝に臨む。

 チームは新型コロナウイルスの影響で甲子園大会が中止となった2020年、県独自大会で優勝。21年秋には東海大会準優勝も、翌春のセンバツには選出されなかった。浜松商や掛川西を全国の舞台へ導いた上村敏正監督(68)は、勝てば昭和・平成・令和の3元号での甲子園出場を史上初めて全て異なる学校で果たすだけに、指揮官のためにも負けられない。静岡高とは昨夏の準決勝含め、公式戦4戦4勝とデータも後押し。今度こそ、夢の舞台へ立つ。(伊藤 明日香)

 〇…エース左腕・高部は「一つ一つアウトを重ね、結果的に無失点で抑えられれば」と、決勝では目の前の打者に集中することを強調した。この日はノックだけでなく、シート打撃に登板し、実戦形式での投球も行った。24日の準々決勝・御殿場西戦では125球を投げて1失点完投。中1日で迎えた準決勝も2番手で力投した。それでも、「気持ちが入っている分、いつもよりも疲労は感じていません」と決勝のマウンドで全力を尽くす。

  【VTR】24年夏の静岡大会準決勝(7月27日・草薙) 静岡2-3聖隷クリストファー 静岡が初回に先制。

3回には聖隷が同点に追いついたものの、その直後に静岡が再び1点リードした。迎えた9回、聖隷は静岡の先発・谷脇健心投手から1死二塁の好機をつくると、連続二塁打で逆転に成功した。続くピンチは2年生だった吉田遥孔が抑えるも、袴田行紀投手が完投した聖隷が逃げ切った。

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