第107回全国高校野球選手権静岡大会の決勝戦、静岡対聖隷クリストファーが28日、草薙球場で午前10時から行われる。昨夏、聖隷に敗れた静岡は県内最多を更新する夏27度目の聖地へ、主将の石橋咲人遊撃手(3年)が、先輩たちの思いと1番打者として打線をつなぐ。
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伝統校の切り込み隊長が、先制パンチを繰り出す。静高の石橋主将が今大会5試合でわずか2失点の聖隷投手陣に対し、初回の第1打席に全集中する。「最初が大事。僕が力負けしないスイングを見せられれば、後ろがついてくる」。今大会20打数11安打で打率5割5分と好調な男が、大一番でチームに勢いを呼び込む。
舞台は整った。昨夏の準決勝で逆転負けを喫した聖隷との決勝。新チーム結成時に、1学年上の先輩たちの思いを込めてチームテーマを「繋(つなぐ)」に決めた。1年前の対戦では唯一下級生でスタメン出場し、3打数無安打に終わった石橋。「悔しい思いを晴らして甲子園に行きたい」とリベンジを誓った。
この日のフリー打撃では、相手の高部と上田の左右二本柱を想定。「仮想・高部」では、ホームベースまで通常(18メートル44)の約6メートル手前から左腕の打撃投手が95~100キロの球を投げた。
21世紀に入り、決勝戦の相性はいい。7度進出し、2008年、常葉菊川(現常葉大菊川)に敗れただけで通算6勝1敗。11年の磐田東戦以降、5連勝中だ。「最近、寝付けない時に優勝インタビューで何て言おうかなって考えたりもしてます」と石橋。遊撃手で守備のキーマンでもある主将が、4年ぶり甲子園切符を手に入れて用意しているセリフをお立ち台で披露する。(塩沢 武士)
〇…東海大静岡翔洋との準決勝(26日)で3安打完封したエース左腕・吉田はこの日、ブルペン入りせず、キャッチボールで調整を済ませた。前半こそ制球に苦しみながら6回以降無安打と立て直した1日前のいいイメージのまま、「きょうもいい感覚で投げられた」と、手応えをつかんだ。「疲れは全然(ない)。あした(28日)も先発で行くつもりです」。聖地の切符を懸けて名門の背番号1がマウンドに立つ。
【VTR】24年夏の静岡大会準決勝(7月27日・草薙) 静岡2-3聖隷クリストファー 静岡が初回に先制。3回には聖隷が同点に追いついたものの、その直後に静岡が再び1点リードした。迎えた9回、聖隷は静岡の先発・谷脇健心投手から1死二塁の好機をつくると、連続二塁打で逆転に成功した。続くピンチは2年生だった吉田遥孔が抑えるも、袴田行紀投手が完投した聖隷が逃げ切った。