メジャー通算3089安打を誇り、アジア人選手として今年1月に初めて米野球殿堂入りを果たしたマリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(51)が27日(日本時間28日)、米ニューヨーク州クーパーズタウンで表彰式典に出席した。濃紺のスーツに青いネクタイという姿で、ファンから大きな拍手と「イチローコール」などの歓声が送られた。
前日26日(同27日)には弓子夫人らと殿堂入り関係者のパレードに参加。沿道の「イチローコール」に手を振って応える場面も見られた。パレードの前には約30分、日米メディアの取材に応じ「まず、(殿堂入りが)ゴールになったことはない。一度もないです」とし、「(ゴールには)まだたどり着いてない。だからまだ(野球を)やってるんで」と語っていた。
全米野球記者協会(BBWAA)に10年以上在籍する記者投票で決まる米殿堂入り。有資格1年目のイチロー氏は史上2人目の満票をあと1票で逃したが、得票率99・746%は史上3位で「1票足りないというのは、すごく良かった。自分なりの完璧を追い求めていくのが人生だと思う。生きていく上で不完全だから進もうと、改めて考えさせられる、見つめられる」と話していた。
◆イチロー(鈴木一朗=すずき・いちろう)1973年10月22日、愛知県生まれ。51歳。
◆米野球殿堂 野球の発展に寄与した人々を顕彰するため、BBWAA会員の投票で1936年に殿堂投票がスタート。
◆クーパーズタウン 米ニューヨーク州北西部に位置し、マンハッタンからは車で4時間近くかかる人口2000人ほどの街。1939年には野球誕生100周年を記念して「野球発祥の地」とされていた同地に野球殿堂博物館が建設された。球史に残る記念品などが多く展示されている。1940~2008年には殿堂入りの表彰式に合わせ、殿堂奉納試合として公式戦とは別に2チームが選ばれて毎年非公式戦を行っていた。