巨人の戸郷翔征投手(25)が2度の2軍降格を経て、1軍復帰する30日の中日戦(バンテリンD)での先発を前に、決意を語った。阿部慎之助監督(46)の「僕が開幕投手に抜てきしたし、迷惑かけてんだから投げろって感じです」とのコメントを受け、「慰められるより、褒められるより、ああいう言葉をかけられた方が奮起する」と負けん気十分で勝利をつかみ取ることを誓った。

 こんがり焼けた肌。精かんな顔付き。戸郷が覚悟を口にした。6月23日に今季2度目の2軍降格。約1か月の調整を経て、30日の中日戦で今季3勝目を目指して先発する。

 「もう本当にやるしかない。やることはやってきたので、あとは結果を出して、チームに貢献すること。後半戦のカギになれればそれが一番です。どこかのピースにはまる投球をしないとまた2軍だろうし、それは分かっています。でも、怖いものは逆にないです」

 自身2度目の開幕投手から、今季はここまで11試合に先発し2勝6敗、防御率5・24。指揮官の言葉に燃えた。阿部監督は22日、山口寿一オーナー(68)に前半戦終了の中間報告を行った際、戸郷について「僕が開幕投手に抜てきしたし、迷惑かけてんだから投げろって感じです」と一見、厳しい言葉を残した。

 「ああいう言葉を言ってくださるのは重要なことだと僕は感じます。今までの成績は一回真っ白にして、今年残りをどうもがいていくか、あのコメントを見て、腹をくくることができた。『今年はもうあいつに期待していない』と言われるより、ああやって言ってくださるだけで僕は救われた。慰められるより、褒められるより、ああいう言葉をかけられた方が奮起する。見返してやりたいって思いです」

 今回の2軍降格では、3週間実戦から離れて桑田2軍監督とフォームを見直した。体の開きを修正し、球速にとらわれない力強い直球を追い求めてきた。野球だけでなく、これまで手を出すことがなかった読書などに取り組み、精神的にも余裕が生まれた。

 「1回目落ちたときは『早く上がらないといけない』っていう気持ちでしたけど、今回いろんなことを吸収して、課題は分かっていたので桑田さんと話してつぶしながらできました。自分の『これ』ってものが見つかりつつあります。今まではマイナスなことしか考えてなかったので、本当に後半戦ですし、一からスタートだと思ってやることは重要だなと思いますね」

 巨人のエースと称される存在でありながら、悔しい登板が続いてきた。28日はG球場でブルペン投球を行うなど、復帰戦へ向けて準備を重ねた。

 「ジャイアンツのエースだと僕は思ってないですけど、そういう立場っていうのはある。

ここまで苦しみながら野球に取り組んできて、まだまだ壁はでかいですけど、一歩ずつだと思ってやっていきます」

 完全復活へ、意地とプライドをマウンドでぶつける。(水上 智恵)

 【VTR】24日ぶりの1軍登板となった先発・戸郷は1点リードの4回2死まで無安打投球を見せたが、森下に左翼への同点ソロを被弾。6回には中野、森下に連続適時打を許して2点を勝ち越され、6回3失点で3敗目を喫した。「チームを勝たせられなかった」と反省した一方、最速152キロと直球の威力が戻り「いい材料はあった」と手応えも口にした。

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