◆第107回全国高校野球選手権和歌山大会 ▽決勝 智弁和歌山2-0星林(29日・紀三井寺)

和歌山は、センバツ準優勝の智弁和歌山が2年連続28度目の聖地切符を手にした。宮口龍斗(3年)が被安打4で公式戦初完封。

今大会5試合で計3失点、4完封の強力投手陣で「打倒・横浜」に名乗りを上げた。智弁和歌山は6年ぶりの春夏連続出場で、秋春夏の3連覇を達成した。

 わずか2点差でも、智弁和歌山に“波乱”の気配はなかった。甲子園行きを決める決勝で、背番号11が公式戦初完封。宮口は「監督から『投げるからにはゼロで』と。絶対に無失点で投げ切ろうと思った」と被安打4でマウンドを守り抜いた。3者凡退の9回にも、この日の最速タイとなる147キロを計測。センバツでは4試合に救援登板していた最速152キロ右腕は「先発でもいけると自信になった」と胸を張った。

 U18日本代表候補の渡辺颯人(3年)の出番は、6回の伝令のみ。エースから背中を押された宮口は2死二、三塁のピンチを切り抜け、終盤3回は隙を見せなかった。競い合い、互いの得意な球種を伝授。渡辺の助言もあり「この大会からしっかり使えるようになった」とフォークもさえた。

 当初は継投を考えた中谷仁監督(46)は、試合途中から「(完封を)予想しました」と信頼。2年連続28度目の夏の聖地を見据え「勝ち抜くには、渡辺に続く宮口の覚醒。投げ切れば、ひと皮もふた皮もむける」と託した。和歌山大会は4投手で5試合を3失点、4完封。21年夏に中西(青学大)ら好投手を擁し、全国の頂点に立ったが「(21年に)匹敵する投手陣。チーム発足時から自信はあったけど、結果にも表れてくれた」とうなずいた。

 センバツは決勝で横浜に11失点の大敗。ナインは27日に王者が制した神奈川大会決勝のライブ中継を観戦し、士気を高めた。春は2/3回を2失点だったヒーローも「春と違う自分を見せる」と本気。雪辱の態勢は整った。(安藤 理)

 ◆宮口 龍斗(みやぐち・りゅうと)2007年4月5日、兵庫・川西市生まれ。18歳。

多田小3年から多田エンゼルスで軟式野球を始める。多田中では伊丹ボーイズでプレーし、U15日本代表に選出。智弁和歌山では1年秋からベンチ入り。最速152キロ。変化球はカーブ、スライダー、カットボール、フォーク、ツーシーム。183センチ、85キロ。右投右打。

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