◆JERA セ・リーグ DeNA1―5ヤクルト(29日・横浜)

 まだ強い西日が差し込む左翼方向へ、きれいな放物線が伸びていく。先頭打者で迎えた2回の第1打席。

ヤクルト・村上宗隆内野手(25)はカウント0―2からDeNA・東が投じた真ん中高めへの146キロ速球をフルスイングすると、バットを握ったまま打球の行方を見つめた。放物線はツバメ党が陣取るスタンドのど真ん中へ。4月17日の阪神戦(神宮)以来103日ぶりの1軍戦で、いきなり飛び出した逆方向への今季1号ソロに高津監督は「まさか打つとは」とあ然。村上は「チームを勢いづけられるような打撃ができたのでよかったです」とホッとした表情をみせた。

 3月のオープン戦中に上半身のコンディション不良で離脱し、4月17日に1軍初出場も故障を再発させた。プロ2年目の19年から主軸に座ってきて約3か月のファーム暮らしは初めての経験。それでも前向きだった。「引退した時、2025年はあまり試合に出られなかったって振り返る期間になると思う」。日焼けした顔は精かんさを増し、打撃をさらに磨いた。逆方向への一発に大松1軍チーフ打撃コーチは「ボールを呼び込んで打てるのはさすが」と絶賛。今季がNPBラストイヤーと公言する主砲は視察したMLBのスカウトに状態が変わっていないことをアピールした。

 チームは3年ぶりの7連勝。

村上は「僕が帰ってきて負けたら何を言われるかわからないので頑張りました」と笑った。「彼(村上)がいる、いないは非常に大きいですよ」と高津監督。まだ借金19ながら5位の広島に4・5ゲーム差と接近。再降臨した“村神様”がツバメを上昇気流に乗せる。(秋本 正己)

 ◆村上の復帰までの経過

 ▽3月14日 上半身のコンディション不良のため、オリックスとのオープン戦(神宮)を欠場。ファームでの調整が開幕後も続いた。

 ▽4月8日 イースタン・西武戦(戸田)で約1か月ぶりに実戦復帰。12日の同オイシックス戦(新潟)で今季初アーチとなる右越えソロ。

 ▽同17日 阪神戦(神宮)に「4番・右翼」で今季初先発し初安打を放つも、9回の打席で空振りした際に顔をしかめる場面も。故障再発で、翌18日に出場選手登録を抹消された。

 ▽7月8日 イースタン・楽天戦(戸田)に「3番・三塁」で3か月ぶりに実戦復帰。

 ▽同27日 イースタン・楽天戦(陸前高田)に「4番・三塁」で先発し、2号2ランを放つなどして復調をアピール。

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