◆JERA セ・リーグ 中日8―5巨人(29日・バンテリンドーム)
序盤のリードを生かせなかった。最後は9回2死一、二塁まで粘ったが、3点差で試合終了。
西舘は初回を3者連続空振り三振で最高のスタートを切り、3回まで31球5奪三振の完全投球。波に乗るかと思われたが、3―0の4回先頭・岡林への四球から暗転した。上林に適時打を許すと、ボスラーには逆転3ランを浴び、5回も岡林に2ランを献上。中11日でマウンドに上がったが、6連戦初戦で役割を果たせず。1点差に迫った6回も2番手・バルドナードが2点を失い、計8失点で流れを好転させられなかった。
打線に光がともっているだけに、これまでのように投手陣も奮闘の跡を刻めば白星を重ねられる期待は高まる。1番・丸、2番・佐々木らの出塁から中軸が走者をかえす形がようやくできつつあり、さらに左大腿(だいたい)二頭筋筋損傷で離脱していた若林と新加入の乙坂が昇格。後半戦から再昇格した大城卓もこの日安打を記録するなど、さらなる打線活性化の可能性が見えてきた。
首位・阪神との差を縮めるために、リーグワースト52の失策も、記録に残らないミスも避けたい。
連勝は3で止まり、首位・阪神とは今季最大タイの11差。2か月連続の負け越しも確定した。再び借金1となったが「最後もいい粘りを見せたしね。今日はキャベッジ以外で点が入らなかったからね。明日はキャベッジ以外の人たちで取ってもらいたい」と阿部監督。最近4戦で計19失点の中、30日は約1か月ぶりの先発となる戸郷の復活にも期待がかかる。
◆清水隆行Point 3回まで完全投球の西舘は、4回先頭の岡林に与えた四球が痛かった。田中に初球を安打にされ、上林の打ち取った当たりがタイムリーに。ボスラーの3ランはカットボールが甘く入った。岡林の四球を「しまった」と感じ、引きずったまま逆転を許してしまった。序盤はいい当たりが野手の正面をついたり、流れが巨人にあったが、自ら流れを相手に渡す四球になってしまった。(野球評論家・清水 隆行)