◆JERA セ・リーグ 中日0―2巨人(30日・バンテリンドーム)

 血をたぎらせ、抑えにかかった。パワー全開の3人締めで、R・マルティネス投手(28)が両リーグ最速の30セーブ目をマークした。

4年連続での到達は05~13年岩瀬(中日)、14~17年サファテ(ソフトバンク)に次いで3人目。史上最速で20Sに達した5月30日と同じく、昨季までの本拠地バンテリンDで節目を刻んだ。「この球場で、なおかつ何年も続けて30セーブという記録に到達できている。本当にうれしい」

 やられっぱなしでは終われなかった。先頭の細川を高め153キロでねじ伏せ、続くボスラーも連続三振。圧巻の内容に竜党もため息をつくしかなかった。セーブに失敗した9日(福島)も同じ2―0からの出番だった。勝利まであと1球の状況から細川に悪夢の逆転3ランを被弾。ベンチで顔を上げることができなかった。「過去は過去と切り替えて」と挑んだ再戦の機会でリベンジした。

 中日時代の22年から積み上げてきた4度目の30S。ユニホームこそ変わったが、パワーの源は不変だ。

名古屋で日本生活を始めてから焼き肉が大好物に。特に“牛タン愛”はすさまじく、当時からスタッフと2人で食事に行くと最初に「6人前」のオーダー。さらに「足りない。もう4人前」とタンを追加するのが日常だった。

 29セーブ目を挙げた27日の夜は広島市内の焼き肉店で「リリーバー会」に参加。年長者の中川に約10万円分、ごちそうになった。通訳は無し。この日リレーした田中瑛、大勢らを含む1軍救援陣9人で絆を深め、そこでも「タンが好き」と周囲を和ませた。「非常に楽しかったよ。シーズン中にチームメートと夕食を共にする。とても大切な時間で、いい時を過ごさせてもらった」。蓄えたエネルギーを敵地で存分に解放した。

 チーム93試合目での30Sは自身最速で、13年西村の102試合を上回る球団最速のスピード。「日々の練習の成果がしっかり出ているからだよ。(活躍の)ヒミツみたいなのは、ない」と胸を張った。史上11人目の通算200Sも残り4。やられたら、やり返す。守護神の意地を12球に凝縮した。(堀内 啓太)

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