◆JERA セ・リーグ 中日7×―6巨人=延長10回=(31日・バンテリンドーム)
伝授された“技術”ではじき返した。体勢を崩されても、巨人・リチャード内野手(26)は負けなかった。
後半戦5試合目で5度目のスタメン。Gデビュー戦だった5月13日・広島戦(マツダ)以来となる移籍後2度目のマルチ安打で気を吐いた。まずは4回2死一塁。内角148キロ、食い込んでくるクロスファイアにうまく腕をたたんで反応した。強烈に引っ張っての左翼線二塁打。これが直後の甲斐の3ランを呼び込んだ。
闘魂注入に応えた。試合前、他の野手陣がフリー打撃を行う中で阿部監督と二人、素振りとロングティーの猛特訓に励んだ。体中から汗が飛び散り、手元のバットもビショぬれ。スタメンでは異例の超熱血指導を受け、最後までグラウンドに残ってバットを振った。低めと高め、厳しいゾーンへの対処法を教わった直後の2安打。「(指導は)大いに関係ある。感謝しつつ、自分(一人)でもいつかはできるようにしないといけない」と頭を下げた。
一挙3点へとつながった4回の第2打席は元ホークスコンビで得点した。本拠地1号を放った5月18日の中日戦後、ソフトバンク時代から慕う甲斐に食事に連れて行ってもらった。「よかったな」。何よりうれしい言葉だった。右も左も分からなかった移籍直後。
シーズン中のトレードで新天地にやってきたロマン砲。打率こそ1割台ながら、同点3ランを放った前半戦最終戦から6試合全てで先発し、うち5戦で安打を放つなど状態は確実に上向いている。「負けちゃったんで…」と表情こそ曇ったが「続けられるようにしたい。勝つだけ。それだけです」と視線はすぐに前へ。監督の期待に即応えた2本を、今は自信にしていく。